2018年6月16日土曜日

エリザのために Bacalaureat 2016


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ルーマニア映画、ムンジウ監督、128分。

妻との仲が冷えている医者、その娘エリザは英ケンブリッジへ留学を希望。そのため試験で良い成績を取る必要がある。試験の最初の日の朝、医者はエリザを車で送っていく。学校少し手前で降ろし、自分はかつての患者である愛人の元へ向かう。愛人と一緒の時、エリザが暴漢に襲われたと電話がかかってくる。急いで病院、警察に行く。学校近くの工事現場で襲われた。未遂で済んだようだが心理的な打撃は大きく、試験の出来への影響が心配される。

医者は警察署長と仲が良く善後策を考える。権力者で移植を希望する患者がいる。移植の順番を上げ、その代わりに娘の試験の対応策を頼む。権力者に恩がある学校関係者を紹介され、手心の約束を取り付ける。
また医師は娘を襲った暴漢が許せなく、現場付近の工事現場の録画ビデオを見る。映った通行人に娘の恋人が似ているようだ。その恋人に向かって娘の暴行を見てみぬふりをしたのではないかとなじる。恋人は身に覚えのない難癖に怒る。後で娘もこれを聞き、父親に対して怒る。医師は妻とうまくいっていない。妻は別れる気でいる。

その後、彼が頼んだ権力者は逮捕される。学校関係者にはつきまとうなと言われる。娘は何も自分の答案と分かる印はつけていなかったという。娘の卒業式に医師は行く。

背景となるルーマニアの民主化以降の、社会の問題がある。独裁者チャウシェスクは倒されたものの、その後の経済社会はうまくいってなかった。医師夫妻も民主化に希望を持ち、ルーマニアに帰ってきた。しかしどうにもならなかったと劇中、医師は妻に言う。
娘を英国の名門大に何としてもやりたいのは、娘の将来について、この国では希望が持てないからという親の気持ちがある。

映画はその社会的な意図だけで判断されるものでない。しかしこの映画も今回の国立FAで上映された他の幾つかの国と同様、社会体制の問題を考えさせる一つである。

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