2017年6月24日土曜日

ブーベの恋人 La ragazza di Bube 1963



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イタリア、フランス映画、ルイジ・コメンチーニ監督、白黒映画である。
汽車に乗った女主人公クラウディア・カルディナーレが回想する場面から始まる。物語は1944年夏。イタリアにとって戦争が終わり、兵士たちが帰還する。
クラウディアの亡くなった兄の、戦友ジョージ・チャキリス演じるブーベが家に寄る。彼らはパルティザンをしていた。
二人は惹かれ合う。チャキリスはたまにしか家へ来ない。また恋の告白もしてくれないのでクラウディアは不満である。チャキリスは党の仕事で忙しいので、あまり彼女と会っていられないのである。勝手に彼女の父親に婚約を申し込んだのも面白くない。女心を理解しない彼をもどかしく思う。

ある日彼がやって来て、殺人を犯したという。仲間を殺されたのでついその場で、復讐してしまったと。そのため彼は何年も外国で隠れなくてはならない羽目になる。
その間、彼女は親切な青年に会い、彼から真剣に申し込まれる。寂しい彼女もその気になっていく。しかしチャキリスが戻ってきて、殺人で裁判にかけられる。彼を励ましに行く。彼はすっかりしょげていて、彼女だけが頼みだという。そんな彼を見ていて、親切な青年との仲は終わらせる。
判決を読み上げようとする、そこで冒頭の汽車の場面に戻る。彼女は彼を刑務所に尋ねていく途中なのである。例の親切な青年と駅で遭遇する。青年は結婚していた。
彼女は刑期が終わる日を楽しみにしている。

クラウディア・カルディナーレを観る映画である。ジョージ・チャキリスもイタリア語をしゃべっている。この俳優は『ウェスト・サイド物語』の印象が強すぎる。
映画の筋を十分理解するためには、当時のイタリア政治、社会を知っておく必要があるであろう。もちろん良く分からなくても映画としては楽しめる。

猫はみんな灰色 Tous les chats sont gris 2015



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ベルギー映画、サヴィナ・デリクール監督。
少女の父親捜しの映画である。
十代半ばの主人公の少女は、父母、妹と暮らしている、父親は生さぬ仲と知っており、母親とはそりが合わない。自分の本当の父を知りたいと思っている。
たまたまストーカーと思われるような中年の男が近所に来る。みんなで問い詰めると私立探偵とわかる。

かつてその中年男は少女の母親と関係を持ったことがあり、少女を自分の娘でないかと疑っている。知らない少女はその私立探偵に自分の本当の父親捜しを頼む。
話が進んでいくうちに少女もさすがに感づき始める。真相、終わり方については少し工夫がしてある。

自分を生んだ父が誰かは母親ほどはっきりしていない。だから映画の題材になり得る。他の映画でも扱っていた。なお題名の『猫はみんな灰色』とはイギリスのロックバンド、ザ・キュアーの曲であり、英語の慣用句で見方によって変わる、という意味もあるらしい。

オリ・マキの人生で最も幸せな日 Hymyilevä Mies 2016



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フィンランド映画、ユホ・クオスマネン監督、白黒映画である。
タイトル戦に挑む拳闘選手を記録映画風に描いた作品。
1962年のフィンランド、主人公オリ・マキはパン屋で拳闘選手である。アメリカのチャンピオンを自国に迎え、タイトル戦を行なう。

映画はその戦いに備えトレーニングに励み、また減量する主人公を記録する。国を挙げて期待の中、当然、主人公はプレッシャーに悩む。
恋人との結婚を望み、常に傍に恋人がいないと落ち着かない。支援者をそっちのけで恋人に電話する。トレーニングを放り出し、恋人がいる地まで遠出する。しかも減量は思ったように進まない。指導兼トレーナーは怒る。

結婚を承諾してくれた恋人と指輪を買いに行き、将来への夢は膨らむ。
試合当日になる。なんとか減量は合格する。そして試合に臨む、
 
拳闘映画は有名な作品もあるが、本作品は実録風でごく普通の人間を描いていると感じさせる出来。