2017年4月21日金曜日

原子力戦争 昭和53年



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黒木和雄監督、原田芳雄主演のATGによる総天然色映画。
原発のある浜辺に心中死体が流れつくところから始まる。
原田は東京からやってきて女を尋ねて回る。その女が元市議の娘と知る。この田舎町に左遷されてきた記者佐藤慶は、女が死んでいると教える。市議の家を訪ねても原田は相手にされない。死んだ娘の妹、風吹ジュンは原田に関心を持っているようである。姉の恋人だったのかと原田に聞くがはっきりした返事は得られない。実は死んだ娘は東京で風俗営業をやっており、そのヒモだった原田は女を取り返しにこの町にやってきたのだった。

娘が心中した相手は女房持ちの技師であり、その妻を原田は訪ねる。妖艶な雰囲気の山口小夜子であって、むしろ原田を誘惑する。原田は未亡人強姦の罪で警察に逮捕される。抗議して警察を出る。
佐藤は技師と娘の心中は見せかけで、原発内の不都合を隠すため殺されたのではないかと疑い、調べ回る。しかし原田を通じて未亡人から入手した技師の原発事故情報を新聞社上部からは拒絶される。原田も調べていくと町のボスから早く帰れと言われたり、無視すると暴力団から暴行を受ける。
結局原発事故を隠蔽しようとする巨大な力が原田や佐藤を阻むという、松本清張もどきの展開の映画である。
 
この映画を今観ると興味深いのは、福島の原発を舞台としているところである。福島原発の敷地に入ろうとする原田だけでなく、カメラも警備員が撮影を止めろと言う、記録映画としての部分も挿入されている。

夏の夜は三たび微笑む Sommarnattens leende 1955



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ベイルマン監督のスウェーデン白黒映画。
ベルイマンが初めて認められた映画らしい。後期の深刻な映画と違い、喜劇的要素が大きい。
弁護士の主人公は若い妻(処女妻である)とともに観劇する。舞台にはかつての恋人だった女優が立っている。後に弁護士は女優に会いに行く。仲を戻そうとするが、女優には現在の恋人伯爵がいる。その伯爵が二人の会っている最中にやって来て弁護士は追い出される。
弁護士の息子は神学校を卒業し家に戻っていた。女中から誘惑されそうになる。

弁護士夫婦と息子は女優の母の別荘に招待される。伯爵夫妻も同様であった。弁護士夫人も伯爵夫人も夫と女優の仲を疑っていた。女優と伯爵夫人はかねてからの知り合いであり、伯爵夫人が弁護士を誘惑できるか賭けをする。

一方で若い弁護士夫人は義理の息子と仲になり駆け落ちする。女中は従僕と結婚の約束をとりつける。
自分の妻が弁護士と一緒にいたところを見つけた伯爵は、弁護士に決闘を申し込む。いわゆるロシア式ルーレットである。銃声が鳴り響く。あわてて女優が駆けつけると弁護士は顔を黒くしている。伯爵は銃弾の代わりに炭をつめてあったのだ。女優は弁護士に抱きつく。
ベルイマン監督はこのような喜劇的作品でも腕の冴えを見せる。