2018年1月31日水曜日

鶏はふたたび鳴く 昭和29年



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五所平之助監督の新東宝白黒映画。海辺の町で南風洋子と採掘労働者らの交流を描く。

舞台の町は以前天然ガスが出ていたが、出なくなってから寂れている。町の富者が再び採掘に挑んだものの、失敗。映画はその富者が自殺、葬礼から始まる。南風扮する若い娘は、自殺した男の母親(飯田蝶子)からお前が殺したとなじられる。富者は自殺前、南風に求婚し、拒否されていた。

また最近彼女の親(東野英治郎)が女房に逃げられていた。田舎町なので、町の人々は南風が歩くと陰口を言っている。東野は羞恥で家に閉じこもり、南風にあたっている。
気がめいった南風は岩浜に来る。採掘に雇われていた移動労働者の5人が彼女を見つける。自殺するつもりではないかと思い、佐野周二扮するその中の一人が彼女の許へ行く。焚火のところへ彼女を連れて来て色々聞く。彼女も元気を取り戻す。労働者たちは新しい仕事の連絡の電報を待っていた。

南風には同様に不遇な友人2人がいる。妾の子とびっこの女(左幸子)である。三人でペンダントに毒薬を入れていて、いつか一緒に死のうと誓っている。

伊藤雄之助扮する男がやって来て女の子三人と会う。自分は技師で、ここで石油が出そうなので場所を捜しに来たという。実は会社のカネを持ち出し逃げていた男である。これを聞いた南風は早速労働者たちに伝える。仕事がなくて困っていた彼らは伊藤を囲み、救世主だと感謝する。以前の天然ガスの場所で、彼らは石油の採掘を始める。

女三人は一旦自殺を約束するものの、強く生きていこうとペンダントは海に捨てる。
最後に伊藤は良心の呵責を感じ労働者たちに告白する。その時、温泉が噴射する。また伊藤を追って来た刑事が現れ、伊藤は逃げようとして海に落ちる。
労働者たちは秋田へ立つ。南風は見送りに来る。必ず後から呼ぶと約束する。

題名は労働者の一人の子供の飼う鶏が長い間、鳴かなかったものの、最後の出発の場面で鳴くことから。

羽場有紗『エレンの宇宙』技術評論社 2009



 エレンの宇宙
電子のエレンが回想し、生物、物質の成り立つ単位の粒子から宇宙の生成まで物語る。挿絵が多く文章は少なく、ちょっと見た目には子供向きの本のようである。

実際子供が読んでも理解できるだろう。しかし大人でも十分読み応えのある、入門書あるいは解説書になっている。

女の子の中の一つの電子であるエレンは、過去に遡り、どのような経緯をたどってきたかを説明する。別の生物だった時、そして地球の生成、更に銀河が生まれた時、宇宙の始まりまで遡る。このような構成によって現在の生物、地球、宇宙がいかにできたかをわかりやすく解説している。出色の入門書の一であろう。

2018年1月30日火曜日

わかれ雲 昭和26年



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五所平之助監督の新東宝白黒映画。

女子大生5人が田舎(小淵沢)の駅に降り立つ。農村の調査に来たらしい。乗換用の列車を待っているうちに、一人の調子が悪くなる。近くの宿屋の女中の世話でそこで休む。残りの学生は立つ。宿屋で休む女子大生は人嫌いで、打ち解けない。川崎弘子演じる宿の女中は親切で、彼女は親近感を感じる。また率直な若い医者(沼田曜一)に惹かれる。継母がやって来るが冷たい対応で返してしまう。女中からこの土地へ来た事情を聞いたり、僻地へ診察に行く医者の後を追って手伝いするうちに彼女の心も穏やかになってくる。父親が出張先から宿屋へやって来る。父親に東京へ帰ったら、母と仲良くなるという。二人の帰京を見送る女中と医者。

戦後あまり経っていない頃の田舎町。電気が来ていない部落もある。イメージとおりの貧しい地方といった感じで懐かしさを感じる。
主人公の女子大生は沢村契恵子という女優であった。