2022年5月31日火曜日

警視庁物語 魔の伝言板 昭和33年

村山新治監督、東映、61分、白黒映画。

タクシーの運転手殺害が毎晩のようにあった。運転手の後ろから首を締めて殺した。しかしながらパトカーとあわや衝突しそうになり、立木にぶつかる。乗っていた男達はみんな逃げ出した。警官が追い一人捕まえる。トランクには運転手の死体があった。これで連日の運転手殺しが解決かと期待したが、捕まった男はその日だけ臨時の雇いであった。後の二人が主犯らしい。
また臨時に雇われたのは運転手がいなかったからで、その運転手も仲間であろう。一人別件で逮捕され犯人らしいが、黙秘権で口を割らない。仲間の間の連絡は上野駅の伝言板を利用しているらしい。
伝言板の近くに刑事たちは張り込む。またしばし留守をしていた運転手の特徴も禿とわかった。伝言板から男を追って刑事たちは跡をつける。ビンゴのホールで仲間と待ち合わせていた。二人が逃げようとするのを刑事たちは捕まえる。

警視庁物語 七人の追跡者 昭和33年

村山新治監督、東映、57分、白黒映画。

世田谷の道路の工事中、マンホールに女の死体が見つかった。一体だれか。
ニュースによって民間会社から連絡があった。給与を銀行から下した後、失踪した女社員ではないかと。やはりその女であった。真面目な社員で拐帯して逃げるような女ではないはずだと分かる。女がしていた指輪についての証言の食い違いがあった。会社の経理課長(小沢栄太郎)と被害者は何か関係があったのではないかと疑う。小沢が犯人でないと分かった。
ただ小沢の情婦の一人が別の男に銀行から給与を引き出すなどについて話していたと分かる。その男が犯人らしい。情婦を囮にして渋谷駅そばで刑事たちは待ち構えていた。やって来た犯人を追い、捕まえる。

2022年5月29日日曜日

警視庁物語 夜の野獣 昭和32年

小沢茂弘監督、東映、83分、白黒映画。

警視庁物語の中で初めての長尺、また画面も横長になる。丸ノ内線内ですりがあった。被害者は気が付き、後楽園の駅で降り犯人らを追いかける。駅そばの原っぱ(今の礫川公園の場所)で、追い詰めるが逆に刺殺されてしまう。明くる朝死体は見つかる。現場の捜索で女物の財布やイヤリングが見つかる。財布は地下鉄内ですられた品、またイヤリングは現場で浮気をしていた婦人のものだった。犯人はタクシーで逃げたらしい。タクシー会社に問い合わせてみても同時刻に客を乗せた車は見つからない。煙突タクシーではないかと見当をつける。煙突運転手のたまり場に刑事が変装して探りに潜り込むが運転手たちから偽者と気づかれ袋叩きで追い出される。すりの一人が殺された。多分、地下鉄内ですりを働いた男で自首するつもりを仲間に殺されたようだ。

ようやく現場から犯人を乗せたタクシーが分かった。下した場所で張り込むがなかなか容疑者は現れない。そこに住む容疑者の情人を警察に連行するが、口を割らない。釈放させ後をつける。また容疑者と思われる男をタクシーで後をつける。両方の刑事たちは日暮里のある家の前で落ち合った。そこがアジトらしい。逃げ出した犯人を追って格闘、ついに逮捕する。

全く警視庁物語は昭和30年代の東京の風景が主役である。この映画でも冒頭、後楽園駅前の今は公園になっている原っぱが現れた時は驚いた。古い区役所と思しき建物が見える。さすがに後楽園の昔のかまぼこ型の駅舎やその向こうに見える後楽園球場は分かったが。

さらば冬のかもめ The last detail 1973

ハル・アシュビー監督、米、104分。

ジャック・ニコルソンと黒人が演じる2人の海軍下士官は、犯罪者の新兵をヴァージニア州の基地からメイン州にある海軍刑務所に護送する命令を受けた。犯罪者の新兵は40ドルの窃盗で8年間刑務所暮らしをくらった。
連れて行くうちに二人の下士官は新兵に同情するようになる。まだ未成年者である新兵を教育すべく娼婦宿に連れて行ったりする。途中で日蓮宗の集会所に入って、南無妙法蓮華経を覚えるようになる。護送の最後の方になって新兵は逃亡を図るが、捕まる。
到着した刑務所では横柄な受付に怒った。

2022年5月27日金曜日

警視庁物語 上野発五時三五分 昭和32年

村山新治監督、東映、58分、白黒映画。

オートレース場で、大穴を当て喜んだ男が急に倒れる。観客が帰る最中である。男は銃殺されていた。捜査により弾はパチンコ玉と分かった。また近くに手拭が落ちており、焼けた穴が開いていた。私製の銃によって殺された。オートレースで換金に来た男、また手拭がタクシー会社のものと分かり、そちらから捜査は続いた。
容疑者が来る飲み屋で張り込んでおいたところ、気が付いて逃げた。追った刑事のうち一人は銃で撃たれ、犯人を追って一人は捕まえた。
真犯人は情婦と共に上野発535分の列車で逃げる予定だった。刑事たちが追ってきて、両大師橋の上で犯人と格闘の末、捕まえた。情婦も列車内で刑事に捕まった。

警視庁物語 白昼魔 昭和32年

関川秀雄監督、東映、51分、白黒映画。

夜中、外車が盗まれ持ち主の外人が殺される。後に車が乗り捨ててありそこにあった血痰から犯人は結核患者であること、また8ミリ撮影機が盗まれていた。更に弾丸から銃の種類がわかった。犯人の一味は高級外車を盗み、大坂等に運んで売っていた。大阪に出張した刑事からそれが分かる。後に8ミリ撮影機を持っている男が容疑者として浮かび上がる。ドライブインの利用でその男が分かった。
最後は犯人の車とパトカーの追跡劇で、犯人は車を捨てた後、逃げ銃で応戦するが捕えられる。

2022年5月25日水曜日

警視庁物語 追跡七十三時間 昭和31年

関川秀雄監督、東映、53分、白黒映画。

深夜のガソリンスタンドで拳銃による強盗殺人事件が発生した。後にタクシーの運転手の死体が発見される。犯人は運転手を殺し、自分がなりすましガソリンスタンドを襲ったのだ。死体から取り出された弾により銃が分かった。米軍から盗まれた銃だった。
この凶器の出所を捜すべく警視庁の刑事たちは苦労するところが映画の主たる部分である。

2022年5月24日火曜日

いとこ同志 Les Cousins 1959

クロード・シャブル監督、仏、110分、白黒映画。

パリに住む従兄宅に田舎から青年がやって来る。同居するようになる。青年は真面目で大学の試験に受かるべく勉強に精を出す。従兄の方は遊び好きで人生を楽しむ派である。この部屋で度々仲間を集めてどんちゃん騒ぎをする。
ある日従弟を連れて仲間の集まりに連れていく。そこで田舎出の青年は魅力的な女にすっかり惚れ込む。女に自分の思いを告白する。相手も青年の誠実さにうたれ、好きになる。恋人同士になった青年と女だが、女の方はこれまで多くの男を籠絡してきた手練れだった。従兄の部屋で集りが会った時も、青年は勉強に忙しく、女が誘っても一人籠って勉強を続ける。田舎の母親に常に手紙を書く。
女と大学が終わってから会う約束をした。しかし行き違いで女は速い時間に家にやって来た。従兄が会って女に説教する。従弟と一緒になってもうまくいくはずもない。女も納得する。手慣れた従兄は女と寝る。従弟が大学から帰ってくる。従兄は青年に女と一緒に住むようにしたと言う。驚く従弟だか受け入れる。
試験の時期が近づいている。従兄の方はあまり試験を気にしていない。仲間たちと悪ふざけのような騒ぎで楽しむ。それでも試験には通ったのである。カンニングを平気で話す。
数日後に従弟の試験があった。勉強一筋にやって来たのに結果は落第だった。気落ちする青年はレストランであの女が他の男たちと一緒にいるところを外から見る。憧れの女の実態を知らされた。帰宅する。

従兄が持っていた拳銃に弾を一つだけ込める。弾倉を回転させ寝ている従兄の頭に向けて引き金を引く。弾は出ない。従弟の青年も寝る。朝になる、従兄は起きる。寝ている従弟を起こす。試験に通ったので一晩中パーティをしていたのかと聞く。落ちたと告げる。また来年があるさと答える。そこにあった銃を取り上げ、従弟の方に向ける。あわてて従弟は止めようとするが、銃に撃たれ死ぬ。従兄は驚く。しばらくして玄関のベルが鳴る。そちらの方に行く。

2022年5月23日月曜日

警視庁物語 魔の最終列車 昭和31年

小沢茂弘監督、東映、60分、白黒映画。

列車の最後尾の車両は郵便物の運搬車である。夜明け近く覆面の男が銃で係員をたおし、現金の入った袋を奪う。線路の近くで待っていた自動車が拾って逃げる。
翌朝の捜査。車のタイヤ跡から車種を割り出そうとする。見つけた封筒からその名を訪ねる。勤めていた商会は知らないとの答え。その商会の前に停まっていた外車は事件現場で足跡を残した車種と同一である。
最後に商会の社長がやはり犯人と分かる。逃げる外車をパトカー追う逃走劇になる。銃撃戦の後、悪者どもは捕まる。

クレイジー・キラー 悪魔の焼却炉 Il rosso segno della follia 1969

マリオ・バーヴァ監督、西、88分。

花嫁姿ファッションを売り物にしている店。そこのモデルがウェディングドレス姿で殺されていく。犯人は店を経営する若い男である。過去の心理的外傷から殺人を繰り返していた。妻がいてうるさい。この妻を殺す。焼却炉で処分する。ところが死んだ後、その姿が他人に見えるようになる。自分には見えないのに。
映画の前半は殺人映画で後半はスリラーになるという展開。

2022年5月21日土曜日

警視庁物語 逃亡五分前 昭和31年

小沢茂弘監督、東映、59分、白黒映画。

警視庁物語の第1作である。タクシー運転手の殺人強盗事件が起こった。続けて他の場所でもタクシー強盗事件が起こったが、被害者の運転手の身体がない。後に川で死体が見つかった。これらの事件を刑事たちが追及していく。
記録映画風の作りで、証拠品を調べ、関係のあるところを聞き込みする。最後は犯人と警察の間の銃撃戦である。
昔の映画は良く拳銃をぶっ放す場面が出てくる。観ている者に対するサービスか。戦争が終わって十年ばかりしか経ってないので、銃を撃つのはなじみがあったのか。

2022年5月19日木曜日

小さな兵隊 Le Petit Soldat 1960

ゴダール監督、仏、88分、白黒映画。

アルジェリア独立戦争時のジュネーヴが舞台の映画。主人公の男はカメラマンだが、実際はフランス側のスパイ。当時、フランスの右翼組織とアルジェリアのスパイ組織がジュネーヴで暗躍していた。主人公はデンマーク人のアンナ・カリーナを紹介され、すっかり好きになる。主人公は相手側の男の暗殺を命じられていたが、なかなかしない。
そのうちに相手側組織に捕まり拷問を受ける。アンナ・カリーナが助ける。実はカリーナはアルジェリア側のスパイだった。しかしこれでカリーナもアルジェリア組織に付け狙われる。最後に主人公は殺される。

2022年5月18日水曜日

『100年前の世界一周』ワルデマール・アベグ、ボリス・マルタン 2008

この訳書の原著は2008年に出版されているが、内容は1905年から1906年にヨーロッパ人が世界一周をした記録とその際の写真である。世界一周をしたのはドイツ人のワルデマール・アベグ、1873年生まれというから30歳を少し過ぎてからの旅行である。写真はその際に撮ったもので、一部は着色されている。文を書いたのはフランス人のマルタンで、アベグの回想録を基に仕上げた。

期間は1905年からなので、日露戦争が終わった年にあたる。アベグは当時、多くの欧州人が東回りで世界一周を試みたのに対し、西回りの航路をとった。欧州を出てからアメリカ、ハワイを周り、アジアに着く。日本、朝鮮、中国、シンガポール、インドネシア、インド、セイロンを経て帰国の途に就いた。

まずこの旅行記を読んで驚くのは、20世紀初頭という時期ながら、旅行者アベグがアジア及びそこに住む人間に対して極めて好意的な態度、価値観を持っているところである。西洋の現状に批判的だったためか。見知らぬ異国は理想化しやすい。日本の西洋への憧れを想起すればよい。何しろ昔(今でもか)の西洋人はアジアを含む有色人種に対して見下していたという印象がある。人それぞれなのである。このアベグは日本をいたく気に入り、四か月滞在した。日本に来て心を奪われた小泉八雲などと通じるところがある。写真もアメリカと並んで多い。ともかく西洋人がこのように日本を称賛する文を読めば日本人として嬉しい。ただこれも一つの例である。

数少ない見聞から日本人とは、中国人とは、アメリカ人とは、などと一般化して論じているのを少なからず見かける。それもあらかじめの意見、偏見に沿った見方や解釈が結構ある。

日本の後、朝鮮に行く。そこでは活気のない社会を見た。書いてある朝鮮の印象も驚く。「礼儀正しいが、受身で押し黙った人たち」(p.150)とある。現代の朝鮮民族の印象とあまりにも違っている。いつあれほど自己主張の強い人々(これも一般化の嫌いがあるが)に変わったのか。朝鮮や中国の人々は映画で見る昔のなりをしている。旅の最後に西洋人に会うと嫌悪感を述べて質素な東洋を持ち上げている。

本書の意見、見方が西洋人の代表とは思わないが、日本を良く言っていて悪い気分にならないから読む価値はある。

2022年5月15日日曜日

獣人 Le bete humaine 1938

ジャン・ルノワール監督、仏、99分、ジャン・ギャバン主演。

エミール・ゾラの原作を元にした映画。主人公ギャバンは機関士である。
助役の妻は養父に呼ばれる。夫の助役は養父が妻にけしからぬ振舞いをしたとして殺人を目論む。列車走行中に個室で夫婦は養父を殺す。その時、ギャバンは廊下にいた。二人が通っていくのを見る。
裁判になる。ギャバンは助役夫婦を列車で見たかと尋ねられ、否定する。助役の妻はギャバンに近づく。ギャバンは妻に魅力を感じたから知らないと答えたと告げる。二人は相思の間柄となる。邪魔になった助役を妻は殺してくれと頼む。
ギャバンには遺伝で発作的に異常行動に走る病気があった。これが妻と二人でいる時に出て、妻をナイフで殺してしまう。翌日、機関車を走らせている際に、同僚を襲い殴って、自分は列車から飛び降り自殺する。

2022年5月14日土曜日

ハンター The Hunter 1980

キューリック監督、米、97分、スティーヴ・マックイーン主演。

マックイーンは賞金稼ぎの男である。全編、捕まえる男を追ってあちこちに行き、いわゆるアクションシーンが出てくる。映画の最初では黒人少年を保護し、更には無法者の青年を捕まえて連れて帰る。追っかけの見物は進行する列車の上で、相手と格闘する場面。マックイーンの家庭内では妻が妊娠している。マックイーンはこんな時代に子供を産んでも不幸になるだけだと、出産に反対している。妻は産みたい。映画の最後では、マックイーンに恨みのある男が復讐を図る。妻を誘拐する。マックイーンは妻を助け、男を倒す。車の中で妻は破水し病院に連れて行き、子供が産まれる。

マックイーンの遺作となった映画だそうである。

2022年5月11日水曜日

百田尚樹『日本国紀』 2018

作家の百田尚樹が書いた日本史である。歴史に興味を持つ者は多く、これまで沢山の日本史が書かれてきた。その中には専門の歴史学者によらない書もある。本書もまたその例である。

本書の特色は何か。一読して思うのは、読み易いという点である。例えば明治維新の前後は日本史の中でも特に興味深い、重要な時期であるが、多くの人名や事件が出てきて統一的な理解が難しい。

一般的に言って歴史書はあまり読みやすくない本が結構出ている気がする。なぜそうなるのか。それは先に述べたように歴史好きが多いから、あまり分かりやすく書かなくても読んでくれる人が多いためと理解する。古い資料の解読といったかなり専門的な事柄でも歴史好きは読もうとする。しかしながら出来るだけ分かりやすく書いて欲しいという要望もあるはずである。本書は明治維新なども分かりやすく、理解しやすく著述してある。

本書のもう一つの特色は、その価値観の立場である。それは日本及び日本人を肯定的にとらえよう、評価しようとする立場である。およそ歴史記述は何らかの価値観、世界観を前提とする。どういった事柄を取り上げ、それをどう書くか、は一定の歴史観がなければ書けない。歴史とは現在の価値観による過去の再構成だからだ。本書は日本の歴史を批判的に理解する立場とは全く逆である。特に戦後日本の記述である。ここの書き方は多くの歴史書と異なっているのではないか。それが最大の特色と言えるかもしれない。(幻冬舎刊)

2022年5月9日月曜日

非常線 昭和33年

マキノ雅弘監督、東映、93分、白黒映画。

港町のホテルが舞台。そこで働いている藤田進の弟、高倉健は前科者であるため、職につけない。ホテルを仕切る千秋実、十朱幸雄らで闇の酒を仕入れて客に提供している。キャバレーの踊り子たちに、高い金で衣装を売ろうとして、ストライキを起こされる。高倉は女を抱えて戻ってくる。飛び込み自殺を図った女を助けてきたのである。ホテルにいる医者、岡田英次に診てもらう。

警察らがホテルにやって来て、大金強奪事件が発生し、その容疑者は高倉と告げる。ホテルは閉鎖し、出入りできないよう非常線をはる。ホテルに来ていた男の三人組は贋札つくりであり、そのうち一人の娘は高倉が助けた女だった。踊り子たちの中に高倉の恋人がいて、妊娠している。警察の言い分を聞いてすっかり高倉が悪事を働いたと思い込む。贋札団は贋札をホテルの部屋部屋にばらまく。そのばらまきも恋人は高倉がやったに違いないと信じる。助けた女の部屋に高倉は外から忍び込み、事情を話す。贋札団の一味に銃で撃たれる。窓伝いに藤田の部屋に逃げ込む。藤田は負傷した高倉を匿う。

警察が部屋にやって来て捜索するが、見つからない。一緒に来た贋札団のボスは拳銃を持っていて、刑事がなぜ持っているかを聞くと、高倉と格闘して奪ったと答える。後で藤田は高倉の恋人と共に、高倉を隠してある寝台の下を確認したら死んでいた。贋札をばらまかれたホテルの住人たちはそれでホテルの酒場で、大盤振る舞いをする。高倉の恋人は泣いて嘆き、それらの金は高倉のものだと叫ぶ。警察がやって来る。強奪事件の犯人が捕まったと知らせる。つまり高倉の仕業でない。贋札団の娘は、ばらまいた金は偽物だと告げる。贋札団と警察の銃撃戦があって、悪党どもは捕まる。高倉の死体を前に、藤田は恋人に高倉の子供を産んで欲しいと頼む。

有名俳優が結構でているくせにびっくりするほどつまらないというか、出来の悪い映画である。これほどひどい映画はあまりないので、観る価値はある。

2022年5月8日日曜日

激しい河 昭和37年

牛原陽一監督、日活、82分、総天然色映画。高橋英樹主演。

横浜の酒場に現れた高橋英樹はトランペットを吹かせろと言い出す。半信半疑で吹かせると非常にうまい。ここでずっと働けと言われるが、断って去る。元々高橋は医者で、知り合いに頼み、船医になる。殿山泰司が船長で和泉雅子がその娘として働いている。
その船に女医が訪ねてくる。高橋は以前、病院の医師をしていたが薬が紛失した責任をとって辞めた。院長の娘である女医は高橋を捜していたのである。女医は船で働かせてくれと頼む。病院の不祥事は経営に関与している男の仕業で、悪事がばれるのを恐れ、船までチンピラどもを差し向ける。高橋は悪党と対決し、うち一人は高橋を気に入るようになる。
病院にいる悪党は女医と結婚して病院を乗っ取ろうとしていた。最後は悪党たちと銃撃戦になり、高橋側に寝返った男は悪人どもを片付け自分も殺される。
女医は病院に帰り、高梁は今のところ船に残って仕事を続けるつもりである。

2022年5月7日土曜日

静かなる凶弾 昭和34年

関川秀雄監督、東映、83分、白黒映画。

深夜の駅前、タクシーの運転手が乗ったまま、射殺されているのが発見された。この事件を志村喬の先輩刑事と若輩の高倉健が組となって捜査する。逃走経路は不明である。拳銃はベルギー製と分かったが、出所が分からない。拳銃が取り引きされるバーにやって来る男を調べたが、拳銃の場所は不明のままである。志村の娘役で中原ひとみがカトリック教会で知り合った技師と婚約をする。教会で山村聡演じる神父は話合いのなかで、犯人は車を持っていたのではないかと推理を述べる。タクシーの運転手かもしれない。

拳銃を使った容疑者が浮かび上がる。しかし拳銃はない。どうしたかと問い詰めると戦友に渡したと答える。その戦友とは中原が婚約している技師だった。志村、高倉は技師を訪ねる。技師は神父に拳銃を預けたとの答え。志村は山村に犯罪を隠していたと難詰する。山村はキリスト教の教えだからという。技師は拳銃の不法所持で逮捕される。心配する中原に、高倉はすぐに釈放されると言い残して、志村、技師と車で去る。

刑事役が志村と若手の高倉は、『野良犬』の志村、三船の設定をそのまま使っている。事件の捜査に加え、最後の方で犯罪と宗教の関係といった問題まで持ち出しているが、消化不良になっている。

2022年5月4日水曜日

サイレンサー第4弾/破壊部隊 The Wrecking Crew 1968

フィル・カールソン監督、米、105分。

007を意識したスパイ映画。主人公が美女と戯れながら、任務を遂行していく。任務より戯れの方が主かと見える。デンマークを通過中の列車から金の延べ棒が大量に盗まれた。その奪還を主人公(ディーン・マーティン)は命じられる。デンマークに飛び、そこで観光案内の女子が迎えにくる。マーティンはいやがるが、後にこの案内嬢は諜報員と分かり、マーティンともども敵方をやっつける。

60年代の映画だから後年の映画と比べても、また007シリーズに比べてもかなり映画の出来は落ちる。昔の映画だと割り引いて観る必要がある。なおこの映画を今観る気になるのは、相手役の案内嬢実は諜報員をシャロン・テートが演じているためだろう。多分女優よりその悲劇的な最期で有名なテートが出ている映画はあまりなく、そういう意味で価値がある。

2022年5月3日火曜日

終電車の死美人 昭和30年

小林恒雄監督、東映、91分、白黒映画。

後の警視庁物語の原型となった実録物刑事映画。終電車が三鷹駅で止まると若い女が死んでいた。他殺である。雨の中、刑事たちが駅に集まってくる。殺された女の身元も不明である。持っていたロケット内の男の写真と切符が手がかりである。やがて男が婚約者だと名乗りでる。これで身元が割れる。男が使い込んだ金の工面のため、不動産売却で手当てするつもりだったと分かる。列車に乗っていたのは女の他、男二人がいたそうだ。女が使った不動産屋(東野英治郎)が怪しい。しかし現場不在証明がある。一緒にいた男の一人は東野だった。あと一人は誰か。

不動産屋を刑事たちは粘り強く見張る。出入りしていた若い女がいてその亭主が事件の日以来行方不明になっていると分かる。この若い男を追う。東野にも逃げられる。東野と若い男は釣仲間で、使っていた品川その他、東京湾沿岸の釣り場を刑事たちは捜す。最後の場面は月島で東野が若い男を難詰する。なぜ殺したのか。金を寄こせと脅す。しかし若い男と喧嘩になり、最後に東野は殺される。残った若い男を逮捕までの活劇にある程度の時間を割いている。

撮影された当時の東京の街並みが分かってよい。月島その他、東京湾沿岸がまだ釣に利用されていた時代である。

2022年5月1日日曜日

青春残酷物語 昭和35年

大島渚監督、松竹、99分、総天然色映画。

桑野みゆきは車に乗せてもらって帰る予定が、運転する中年男から乱暴されそうになる。その時通りかかった川津祐介に助けてもらう。川津にすっかり惚れ込み、同棲しようとする。二人で海の方へ行って遊ぶ。桑野の姉が久我美子で、妹の気ままな行動に説教している。川津と桑野は美人局で金を稼ごうとする。川津は中年の女の囲い者でもあった。愚連隊と問題を起こした。

桑野は川津の子供を妊娠した。堕胎の金が必要である。美人局で金を取らなかった桑野に代わって中年を脅し、金をせしめる。久我は自由に生きている妹を見て、自分の時は自由にできなかったと恨みを抱いている。かつての恋人である、医師の渡辺文雄のところへ行って相談しようとする。するとそこでは妹の桑野が堕胎の手術をしたところであった。若い時一緒に理想に燃えていた渡辺が堕胎で金を稼いでいるという姿に現実を知らされる。

川津と桑野はその後警察に逮捕される。恐喝容疑である。二人の周囲が働いて釈放される。自由になったと思った後、川津は愚連隊に乱暴され、桑野は車に誘われたが気が変わって降りようとして、二人とも破滅する。