2023年3月31日金曜日

記憶の代償   Somewhere in the night 1946

マンキウィッツ監督、米、108分。

戦争が終わった時、男は戦地の病院にいて記憶を失っていた。自分の名も忘れた。ある男からの手紙があり、ジョージ・テイラーとあった。これが自分の名前なのだろう。
その手紙には銀行に行けば大金を下せるとある。本土に戻りその銀行に行くと銀行の様子は変である。まるで犯罪者が来たかのようだ。男は金を受け取らずすぐに銀行を出る。自分あてに手紙を出した男を知りたい。その名を言って捜していくと、どうもその男は犯罪者のようである。
あちこちに行く。胡散臭い連中が関わっている。暴力を受ける。たまため関わり合った女に助けられる。その女の知り合いで助けてくれるという友人を紹介される。求めていた男はやはり犯罪者だった。それは刑事に聞いて分かった。2百万ドルの金を着服したらしい。更に刑事はジョージ・テイラーという男が銀行に来て、それは悪人と仲間のようで捜していると言う。
主人公は更に男を捜していく。最終的に捜していた男とは自分自身と分かる。大金の発見、悪漢どもとの銃撃などがある。また男は私立探偵だったと分かる。自分を助けてくれた女と一緒になる。

暗い鏡          The dark mirror 1946

シオドマーク監督、米、85分、オリヴィア・デ・ハヴィランド主演。

室内に死体が転がっている場面から始まる。明くる朝、警察で聴取を受けている人々。同じ建物の住人が、被害者は若い女と一緒だったと証言する。秘書は、恋人がいたと言いその働いている場所を教えた。売り子だった。
警察は目撃者を連れて面通しをし、容疑者の娘(ハヴィランド)に声をかける。昨日の夜公園に行って知り合いと会ったと娘は言う。警察が男の名をあげ殺されたと言うと気を失う。隣に精神科医の医院があり、そこで介抱を受けた。警察が現場不在証明を調べたら、実際に会ったと分かった。
その後、娘は双子の姉妹だったと判明する。(ハヴィランドの一人二役)どちらが犯人ではないかと警察はみるが証拠がなく、姉妹は協力的でない。
精神科医は双子の研究をしており、双子に協力してもらいたいと申し出る。金がなかった姉妹は応じる。一人づつ検査をする。ロールシャッハ検査や連想ゲーム、嘘発見器にかけるなどである。精神科医は双子のうち一人が異常者だと警察に告げる。姉妹のうち邪悪な方は、もう一人をノイローゼにしていく。
医者がまともな方をデートに誘う。邪悪な方がもう一人だと称して来た。医者はもう一人の女、邪悪な方、即ち実際に来た方の女をけなす発言をする。自分を言われているので女は反論する。そのうち警察から電話があり、もう一人の方が自殺したと連絡が入った。すぐに姉妹宅に行く。
邪悪な方に警察が訊問をする。すると扉が開いて死んだはずのもう一人が出てくる。邪悪の女を罠にかけるための芝居だった。
邪悪な女は捕まり、医師ともう一人のまともな女は結婚するだろう。

2023年3月30日木曜日

ブロンドの殺人者     Murder, my sweet 1943

エドワード・ドミトリク監督、米、95分、チャンドラーの『さらば愛しき人よ』の映画化。

映画は目隠しした主人公フィリップ・マーロウが警察に陳述するところから始まる。探偵事務所に刑務所を出所したばかりの大男がやって来て、昔の女を捜してくれと依頼する。
明くる日やって来た別の男は取られた宝石を買い戻しに行くので付き合って欲しいと依頼する。報酬額にマーロウは同意し寂しい場所に二人で車に乗って行く。マーロウが降りて辺りを見回っていると後頭部を殴られる。目が覚めてみると依頼人は殺されている。買い戻すお金も無くなっていた。警察に通報する。殺された男と関係のある別の男を警察は疑っていた。
事務所に若い女が来る。その女が言うには殺された男が買い戻す予定の宝石とは翡翠のネックレスで、女の父親の所有物だった。マーロウは女とその家、豪邸に行く。女の義理の母親はまだ若く誘惑的なそぶりをマーロウに見せる。また警察が殺された男と知りあいだと言う男がその家に来た。
ナイトクラブに若い女と行くとそこに昔の女を捜してくれと依頼した大男もいた。殺された男の知り合いの男はマーロウがネックレスを持っていると思っていた。マーロウを家で殴り倒し、吐かせようとした。そこから逃げだしたマーロウは若い女の家に行き助けられる。
別荘に行くと義理の母親がいて、実はこの女が黒幕でネックレスも持っていた。奪われたと嘘を言い、男もマーロウも最初殺すつもりだったが、マーロウは難を逃れたのだった。義理の母親がマーロウに銃を向けるが、自分の妻に裏切られたと分かった夫(若い女の父)が現れ、義理の母親を撃つ。その時大男が入って来て、殺された義理の母親こそ自分が捜していた女と知る。その女を殺した父親を殺そうして銃を向ける。銃が目の前で発射されマーロウは目が見えなくなる。
これが映画冒頭でマーロウが目隠ししていた理由である。銃を撃った連中はどうなったかと聞くと、父親も大男も死んだという。

2023年3月29日水曜日

キャットピープル   Cat people 1942

ジャック・ターナー監督、米、73分、シモーヌ・シモン主演。

ニューヨークの公園の豹の檻の前で描いているシモン、そこに通りかかった技師はシモンに惹かれる。二人は結婚する。
しかしシモンが言うには自分はセルビアの村の出身であり、昔の因縁があって猫に変身するかもしれないと心配する。技師は悩んでいるなら精神科医に相談すればいいと言い、シモンは精神科医にかかる。それでもシモンの悩みは解決しない。
技師はシモンの悩みについて同僚の女に相談し、その女が元々技師に惹かれていたので、二人は接近する。シモンは二人の仲を嗅ぎ付けた。それ以来女は道を歩いていると後をつけられる、プールにいても怪しい影が自分を狙っている危険を感じる。
シモンの謎、危険性が高まっていき、明示的にそういう場面が出てくるわけでないが、シモンの犠牲になったかと思わせる悲劇が起こる。最後までシモンの変身などの場面はないがそれ故にかえって恐怖を感じさせる映画となっている。

夜      La notte 1961

アントニオーニ監督、伊、121分、白黒映画。

マルチェロ・マエストロヤンニは作家、ジャンヌ・モローはその妻である。友人が入院している。見舞に行った後、用がありモローだけ先に帰る。
タクシーを拾って街中のあちこちに行く。マエストロヤンニは帰宅するがモローがいない。後になってモローは家に電話してマエストロヤンニに迎えに来てくれるよう頼む。なぜこんなところに来たのかマエストロヤンニは聞くがはっきりした答えはない。
二人は夜、どこかに行こうとなる。マエストロヤンニが実業家に誘われていると答えるが、モローは気乗りしない。二人だけのところに行きたいと言う。ショーを見ながら飲んでいたが、モローが呼ばれた実業家宅に行こうと言い出す。
行って多くの人と会う。そこの娘がモニカ・ヴィッティであり、マエストロヤンニは惹かれる。雨が突如降り出す。モローはある青年に誘われ車でそこを出る。着いた先でモローは青年を拒み、元の実業家宅に戻る。ヴィッティはマエストロヤンニに妻から奪うつもりはないと言う。
雨が上がり、マエストロヤンニとモローは帰る。途中でモローはもうマエストロヤンニを愛していないと言い出す。マエストロヤンニはそれを聞かず、モローを草原で抱く。

恋のエチュード   Les deux anglaises et le continent 1971

フランソワ・トリュフォー監督、仏、137分。

時代設定は20世紀初頭。フランス人の男主人公は母親の知り合いのイギリス娘をパリで知る。そのイギリスの海岸沿いの家に滞在する。
母親と知り合った女、その妹という女ばかりの家だった。女は妹を男に推薦する。男と妹は愛し合うようになる。大人が二人の愛が本物かどうか、一年間、離れてそれで確かめ合うよう勧める。
男はフランスに帰る。一年も経たないうちに女を忘れ、手紙を書く。
後に姉と再会し、恋人の関係になる。妹を東欧系の男が好きになっていた。妹は後に姉と男の関係を知り、激しく絶望する。男と愛し合う。
姉は病気で死ぬ。姉妹と離れた男は後になって妹の結婚を知る。

2023年3月27日月曜日

淑女と拳骨   No time for love 1943

ミッチェル・ライゼン監督、米、83分。

女主人公は雑誌社のカメラマンで独立心が強い。ニューヨークの河川の地下で工事をしており、それを写真に撮りに行く。男たちは迷信深く女を嫌がるが、工夫たちを男らしい連中と思っていた、迷信を怖がるような幼児でないはずと主人公が言うと見栄を張って何でもないと言い出す。
男同士で喧嘩が始まりそれを写真に撮る。それが雑誌に出る。主人公のところへその喧嘩した工夫の男がやって来た。雑誌に載ったせいで数か月停職になった。喧嘩は禁じられているのに写真でばれたからと言う。女は仕事のない男を助手に雇ってやる。
男は図々しく、芸人のところへ写真を撮りに行くと早速そこの女と仲良くなる。内心、男に関心を持っていた主人公は面白くない。
後に男が復職して河川地下の水漏れを防ぐ装置を発明した。それが役に立つかどうかの試験があった。マスメディアは締め出されたが、主人公は内緒で潜り込み、写真を撮ろうとする。男の装置は最初はうまくいったが、別の箇所から水が溢れ、主人公が巻き添えになる。工夫達は主人公を助ける。主人公がカメラを無くしたと言うので、水が止まってから泥だらけになって取りに行く。
男の装置は失敗だと会社から言われた。しかし見つかったカメラの写真で装置が水を止める役目を果たしていたと分かった。お互い我を張って強がっていたが、二人は最後には仲良くなる。

虹を掴む男   The secret life of Walter Mitty 1947

ノーマン・マクロード監督、米、110分、総天然色、ダニー・ケイ主演。

ケイは出版社で雑誌を担当している。空想癖があり、会議の途中で空想して夢の世界に入ってしまいドジをやらかすなどの毎日だった。
ある日、若い女に助けを求められる。女はオランダから来ており、オランダの宝石をナチスが狙っている。その在り処を書いた手帳をナチが追い回していると話す。女はこっそりその手帳をケイの鞄に入れた。そのためケイはナチから追われる。ただ周囲は空想しているだけと思っている。
女の叔父という男の知る医者に診てもらう。精神がおかしいとされた。ケイは今までの出来事は空想だったのかと思うようになる。
許嫁と結婚することになり、その結婚式でケイはあの女の持っていた品物をポケットから見つけ、夢でないと分かり、結婚式から飛び出す。医者のところに行く。叔父も含めナチスの手先だった。ケイは女を助け出し、後に結婚する。

テリファー   Terrifier 2016

ダミアン・レオーネ監督、米、82分。

ピエロの扮装をした殺人鬼が次々と残虐な殺人を犯していく。
ハロウィンの夜、若い女二人連れが飲食店に入ってくる。後に現れたピエロ男。女と写真を撮ったりする。後に店員はピエロに殺された。
店を後にした女二人は別の建物にトイレに行きたいので入る。ここもピエロが入って来て、住人を殺した後、女二人もその標的となる。特に一人の女は半分裸で、天井から股を開いて逆さ吊りにされ、糸鋸で身体を縦に斬られる。あと一人は銃でやられる。
姉が電話を聞いてかけつけ、これも殺されそうになるがからくも逃れ、ピエロは駆け付けた警官に射殺される。死体解剖室に運ばれたピエロは起き上がる。

2023年3月26日日曜日

春高楼の花の宴   昭和33年

衣笠貞之助監督、大映、111分、総天然色、鶴田浩二、山本富士子主演。

琴の家元の娘、山本富士子には相思の鶴田浩二がいた。鶴田はいざこざがあって今は身を隠している。その間、山本は会の理事長である上原謙と婚約した。九州で琴の演奏会があり、そこで山本は鶴田に再会する。鶴田は山本に告白をし、抱き合う。
東京に帰ってから山本と上原の結婚式当日。またも現れた鶴田は、ダスティン・ホフマンよろしく花嫁を攫って逃げる。こちらの映画の方が十年早いが。花嫁を取られた上原は呆れ怒る。
鶴田と山本は一緒になれてうれしいが生活の当てがない。前から山本に仕えていた若い女が助けてくれる。下品な興行師が二人の居場所を尋ねあて、やってくる。劇場に出てくれと。二人で出た場所はストリップ小屋であった。観客の野次の中、二人で琴を演奏するが、鶴田は我慢できず喧嘩を始める。挙句の果てに怪我をする。
入院した鶴田を山本は世話をし、自分は出かける。この後、上原が病院に来る。上原は鶴田に、山本は費用を稼ぐためあのストリップ小屋に出ていると告げる。驚く鶴田に上原は、山本を実家に帰してやれと頼む。さすがの鶴田も、のまざるを得なかった。
山本は琴の発表会がある。そのための曲を鶴田は作曲していた。上原が奔走したが、やはり鶴田を許してやるわけにはいかないと関係者の意見だった。会場で山本は演奏する。それを鶴田は上の方の席の脇で観ていた。会が終わり、山本の父親である家元はもうこの流派は自分一代で終わらせる、山本は自由にさせてやるとみんなの前で公表する。自由になった山本は鶴田を追う。

大巨獣ガッパ 昭和42年

野口晴康監督、日活、81分、日活唯一の怪獣映画。

南洋の島に船で行く。そこの洞窟で見つけた巨大な卵、やがて孵化し、ガッパの子供(幼虫?)が出てくる。これを日本に持って帰ろうと決める。島の住人たちは反対する。それでも日本にガッパの子供を運ぶ。元の島では親ガッパ(夫婦とも)が怒り出し、島の部落を破壊しまくる。
子供を取り返しに日本へ二匹のガッパは向かう。何しろ空は飛べる、水の中にも生息できる、もちろん地上の闊歩も思いのままという巨獣である。日本の町々を破壊し尽くす。島の土人の子供がやって来て、子ガッパを親に返してやれと勧める。手だてがないので子ガッパを返してやる。
羽田空港から飛び立つ三匹のガッパ。天使のような翼がついているが、何も動かさず助走もせず、空中に浮かび上がった。まるで糸で釣っているようだ。そのまま静止の恰好で空の彼方に消えていく。この時、ガッパの歌が鳴り響く、ガッパー、ガッパー、ガッパーと。この最後がみ物というかきき物であろう。

2023年3月25日土曜日

拳銃貸します   This gun for hire 1942

フランク・タトル監督、米、81分、ベロニカ・レイク、アラン・ラッド主演。

ラッドは殺し屋で、ある文書を手に入れ相手を殺す。その報酬で得た金は、盗まれて番号が分かっている札だった。騙されたと分かり警察に追われる。
レイクは手品をやっている芸人、刑事の恋人がいる。レイクの芸を見てロサンゼルスの劇場支配人から出てくれと頼まれる。恋人の刑事に事情を話し、列車は出発する。
隣の席に座ったのが、警察から追われているラッドだった。レイクを呼び出したロサンゼルスの支配人は、ラッドを騙し通し番号の札を渡した男だった。ラッドとレイクが隣り合って座っているのを見て、仲間だと思い込む。レイクはラッドから頼まれ、ラッドの手助けをすることになる。ロサンゼルスに着いてからもラッドはレイクを連れ、レイクは実質上のラッドの協力者となる。
実はレイクは警察の手先で、ラッドが殺しで手に入れた文書は敵方に売り渡す秘密文書だと言う。レイクは支配人に呼ばれる。相手はレイクをラッドの仲間と思い込んでいるのでレイクを捕まえ縛る。亡き者にしようとしていた。
ラッドは自分を騙した支配人に復讐するつもりで屋敷に忍び込んだが相手はおらず、縛られたレイクを見つけ、助け出す。恋人の刑事は相手が殺人者と一緒にいるので何とかして助け出そうとする。完全に仲間同士となったラッドとレイクは操車場で警察に囲まれ一晩過ごし、明くる朝そこから逃げだし、騙した支配人宅に行く。
支配人は自分は操られていただけと言い、黒幕のボスのところに連れて行く。ボスは毒ガスの設計書を日本人に売り渡すつもりだった。ラッドと悪漢ども、警官の間で撃ち合いになり、悪漢だけでなくラッドも死ぬ。残虐非道の野蛮人である日本人に毒ガスが渡らなくて良かったという映画である。

2023年3月24日金曜日

鹿島茂『フランス歳時記』中公新書   2002

副題に「生活風景12か月」とあるように、フランスの一年間、月ごとの歳時記である。4月から始まり、3月に終わる。夫々の月の話題の他、月の守護聖人、その月にまつわる文化人が語られる。

フランスの生活事情を日本人向けに解説しており、かつてに比べ地球化が進み、外国との距離が小さくなったといえども、そこの固有の文化は分からない。日本の文化をどれだけ外国人が知っていようかと考えれば分かる話である。フランスの生活事情に関心があれば興味を持って読める。

それにしてもかつて昭和40年代までフランスは日本人の憧れの的だった。なぜそうだったのか、理由は想像できなくもないが、ともかくあれほど憧れの対象だった外国はフランスをおいてない。もし当時本書のような本が出ていたら、今よりずっと関心を持って読まれただろう。

グッドール『音楽の進化史』   The story of music

いわゆる音楽史の本である。ただクラシック音楽(広義の)だけでなく、現代はポピュラーも扱っている。全体で8章から成り、そのうち最後の2章は「ポピュラーの時代」という題がついている。

音楽史は美術史と比べて不利である。美術なら写真で曲がりなりともその形は伝えられる。しかし音楽は本では音は出ず、それを言葉で伝えようとすると専門用語や楽譜が出てきて、音楽を楽しんでいるだけのファンには難しい場合が結構ある。CDをつける試みもあるが一部であるし、やはり制約がある。そのせいか美術史に比べ音楽史は良い本が相対的に少ない気がする。

本書は数ある音楽史の中で結構読み易く、得るところが多い本であると思う。(夏目大訳、河出書房、2014

2023年3月17日金曜日

八條忠基『「勘違い」だらけの日本文化史』(淡交社) 2021

これまで理解していた歴史上の出来事、あるいは常識を、実際はこうであると説明している書籍である。

八咫烏の足は3本かとか、因幡の白兎の色はとか、十二単は12枚の重ね着なのかなどが例である。勘違いと題にあるが、今ではその内容を知らない人も結構いようと思われる事項がある。雑学集として面白い。

2023年3月16日木曜日

ルイス・フロイス『ヨーロッパ文化と日本文化』岩波文庫(1991年)

信長秀吉時代に日本で宣教し、同時代の記録を残しているので有名なフロイスによる日欧習俗比較論である。原著は1585年に書かれた。

内容は「男の風貌と衣服」「女とその風貌、風習」「児童とその風俗」「坊主とその風習」「寺院、聖像、宗教」「日本人の食事と飲酒」「日本の武器」「馬」「病気、医者、薬」「日本人の書法、書物等」「家族、建築、庭園等」「船」「劇、舞踏、歌、楽器」「以上以外」に分かれる。我々ではこうだが、日本人はこうである、といった対比で論じられているものがほとんどである。何しろ16世紀後半の記述である。日本人はこうしている、と書いてあっても現在の我々には、全くあずかり知らない内容が多い。書いてある対象を知らない、あるいはそんなことをしていたかと思う場合が多い。また、たまたま目にしたものをそこの全体に当てはめるなどは、知らぬ外国に対して往々にしてするものである。そういった疑問は例ごとに注釈があり、解説している。

自分の国であっても歴史には政治状況のようなものばかり書いてあるので、こういう風俗関連は分からなくなっているのである。

2023年3月13日月曜日

フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ 昭和41年

本多猪四郎監督、東宝、88分。

前作で登場したフランケンシュタイン、その細胞が海に流れ、新しいフランケンシュタイン、ガイラが生まれる。残忍で人食をする怪物である。
元のフランケンシュタインは山にいてサンダと呼ばれる。サンダは育ててくれた水野久美を窮地から何度も助ける。兄弟というか子供というかガイラが暴れ、人に危害を加えるのでサンダはガイラを諫め、最後には対決する。
ガイラは光が嫌いでガイラ対策で家々が灯りをともして明るくしていた。ガイラは戦車をそれらの家に投げつけ家ごと破壊する。
映画の最後はサンダとガイラが海で戦っている最中、海底火山の爆発が起こり二匹とも火山の噴火に巻き込まれる。

2023年3月12日日曜日

炎と愛と   昭和36年

須川栄三監督、東宝、98分、総天然色映画、三橋達也主演。

戦時中、三橋達也は瀕死の平田昭彦を、漂流中の筏の上で頼まれて殺す。
戦後、まだ占領中の時期に移る。三橋は投げやりの生活を送って、女を自殺させた上、別の女との心中をやらかし左遷されていたが、本社に呼び戻される。
三橋の勤める商事会社の社長、森雅之、三橋が殺した平田の父親、はなんとしても石油を買い付けたいと思っている。ただ進駐軍が許さない。独立後、石油を求めるなら中東しかない。三橋はその仕事をぜひやりたいと申し出る。
三橋のこれまでの無責任な態度を軽蔑していた社長秘書の白川由美、またフランスに行きたがっている社長の娘、司葉子がいる。司は三橋に惹かれる。
三橋と森は中東に向かう。向こうの首相、責任者と話をつける。タンカーで石油を積みにまた来ると約束する。帰途、三橋は血を吐いた。日本に着いてから司に病気を知られ、止められる。自分の仕事だと言って無理を押して行く。
タンカーに石油を積み帰国途中、三橋は死ぬ。司は帰国後に三橋と結婚の約束をしていたが、気が変わりフランスに行くことにしていた。三橋が死んだと連絡が入り、空港で飛び立とうとしていた司に森は三橋の死を知らせる。

八州遊侠伝 男の盃   昭和38年

マキノ雅弘監督、東映、83分、白黒映画、片岡知恵蔵主演。

上州の町。国定忠治が死刑になって一年。今、町を仕切るやくざはたちが悪い。祭りの権利で利益を独占しようとする。目明しは志村喬で老齢なので、息子の千葉真一が十手は町のボスに渡せと言うが志村は聞かない。千葉の恋人役で藤純子が映画デビューとして出ている。
片岡知恵蔵演じる中年男が町にやってくる。出会った子供と仲良くなりいじめっ子に壊された独楽を片岡が買ってやろうというと父がくれた物だから代わりはきかないと子供は言う。感心した片岡はそれでは作ってやると言う。その子の母親は、夫が国定忠治の子分だったため殺された、国定忠治が死刑になった時は正直言ってうれしかったと言う。片岡はそれを聞いて複雑な顔をする。
実はこの片岡が国定忠治で実は死んでいなかったと思わせる筋である。
祭りになるとボスが横暴を奮うので片岡がやっつける。その後は千葉が志村の十手を引き継ぐという展開。

2023年3月9日木曜日

バッド・バディ!私と彼の暗殺デート  Mr. Right 2015

パコ・カベサス監督、米、95分。

女主人公は男運がなかった。たまたま会った男と恋に陥り、相手も女を好きになる。ところがこの男は暗殺者だった。今までの経歴から沢山の者たちが狙っている。
女は最初、男が人を殺してきたと言っても冗談だと思って真面目に受け取らなかった。暗殺者の男は殺人の依頼をしてきた者を殺すようになっていた。女は男が話し相手を射殺するところを見てしまい、驚愕する。男が訳を話しても女は納得できず、人殺しをしないよう男に約束させる。
男を利用しようとし、また男を狙う連中は女を人質にとる。男は女を救出に行く。女も男から教育されていて、その武術で相手方を倒していく。最後に男と女は結ばれる。

2023年3月5日日曜日

ヨーロッパ横断特急  Trans europ express  1966

アラン・ロブ=グリエ監督、仏白、95分、白黒映画、ジャン=ルイ・トランティニャン主演。

ヨーロッパ横断特急とはパリとアントワープを結ぶ急行列車を指す。この列車でトランティナヤンは麻薬の運び屋をやっている。街に着きある娼婦との出会いがある。
実は最初運んだトランクには麻薬など入っておらず、これはトランティニャンを試験するためだった。
しかもこの映画の筋を、列車内で議論する三人の男女が出てくる。つまり映画の大部分はこの検討している映画の筋を映しているのである。
後に娼婦は敵方のスパイと分かる。トランティニャンは殺される。

2023年3月4日土曜日

佐々木毅『近代政治思想の誕生』岩波新書  1981

政治思想史上、極めて興味深い16世紀の政治思想を対象とする。マキャヴェリとボダンの世紀である。ルネサンスと宗教改革の世紀である。中世から近代への移行期である。次の17世紀は絶対王政期、主権国家が確立し社会契約説の時代になる。およそ政治思想を考える上で16世紀はとりわけ関心の深い時代になる。本書の目次は次の通り。

1.クロード・セセル、2.ニッコロ・マキアヴェッリ、3.トマス・モア、4.カルヴァンとその弟子たち、5.ミシェル・ド・モンテーニュ、6.ジャン・ボダン、となっている。第1章のクロード・セセルは今では無名であるが、当時の思想状況の基調として、つまり多数意見として取り上げ、後の思想家らはセセルとの比較で論じられる場合がある。