2019年2月28日木曜日

アウトレイジ 最終章 平成29年

本作は前作までと異なり、関東のやくざは後退、関西のやくざと韓国系やくざが全面に出てくる。関西やくざは前会長が死に、その娘婿が後を継ぐが人望が全くない。

北野武は済州島にいた。日本でのやくざ間の抗争により帰国する。
関西やくざの内部抗争、会長が邪魔な幹部を殺そうと図り、後に自ら殺される。北野は今では韓国系やくざの配下にあり、韓国やくざが殺されたので、その復讐をする。北野が暴れたことにより韓国人の会長に迷惑がかかると言われ、復讐を遂げた後、自殺する。

普通に観ていて、最後に自殺しなくてもいいのではないかと思ってしまうが、このシリーズで北野はあまり権力欲などなく、随分達観しているように描かれている。自分の生にさえ執着がなかったように見える。

アウトレイジビヨンド 平成24年

北野武監督、『アウトレイジ』の続篇。

前作の最後に会長を殺して自分が会長にのし上がった三浦友和、彼の幹部たちの中には不満もある。前会長を殺したのではないか。それで前会長時代の用心棒が要職についているのも秘密を知っているからだろう。彼らはやくざと通じている刑事の手引きで大阪のボスに助けを求めに行く。しかしこの大阪のボスと三浦は裏で通じており、帰ってきた後、造反を企てた幹部は殺される。

前作で刑務所内で殺されたという北野武は、実は生きており、刑事は北野を早く釈放して現在の会長体制に挑戦させようとする。実は北野はもうやくざ抗争をする気はなかったが、これまた刑事の画策で三浦への復讐を考えている、以前の別の組の若頭は、北野を誘う。

北野は現体制から襲撃を受ける。前若頭は会長配下の男を締め上げ、前会長を殺したのは三浦と白状させ、幹部連中に録音を送り付け、反旗を翻させようとする。
三浦は引退、後に北野に殺される。やくざ間の抗争をさせようと画策した刑事も北野に殺される。

ムーンライト Moonlight 2016

バリー・ジェンキンス監督、米、111分、黒人映画。
主人公の黒人の成長が描かれる。

少年時代、みんなからいじめられている。母親は薬中毒、また良くしてくれる大人の黒人がいる。その男も薬売人である。
友人がいるが、青年になってもいじめられているのには変わりない。

成長して大人になる。今は別の町に住む。かつての友人から電話がある。故郷の町へ戻る。友人が働いている食堂で会う。お互いの近況報告。友人は結婚して子供もいる。何をしているかと主人公は聞かれる。薬の売人だと答える。二人は以前から同性愛の仲であった。久方ぶりの抱擁。

黒人のいじめ、薬物、同性愛といった事柄が主題の映画であり、そのためアカデミー賞を受賞したのであろう。いわゆる面白い映画ではない。アカデミー賞受賞でなければ単純に観ていたただろうから、意外にいいと思うか、退屈なだけと思うかもしれない。
Political correctressだから受賞できたのであって、面白いから受賞したのではない。

アウトレイジ 平成22年

北野武監督、109分。やくざの戦い、抗争を描いた映画。
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やくざ全体を取り仕切るボスは傘下のやくざが勝手に麻薬売買をしているので、それの兄弟分にやめさせるよう指示する。兄弟分は自分の子分にあたる北野武の組を使う。暴力的方法で相手を懲らしめた北野はそのシマを引き継ぐ。
弱小国の大使館が麻薬を扱っているという情報を得た北野の組は脅し、治外法権の大使館を使って賭博場を始める。

北野が乗っ取り引退した筈のボスはまだ麻薬を裏で取り扱っているらしい。そのボスを殺す。北野のボスは優柔不断、大ボスからの教唆により北野に殺させる。
更に北野に滅ぼされた組の若頭は、北野の組員を皆殺しにする。自分の安全のため、知り合いの、やくざと通じている刑事の勧めで自首し刑務所に入る。刑務所内でかつての敵から刺される。北野は死んだと刑事は大ボスに報告する。
大ボスは、直属の手下に殺され、その手下は自分が大ボスに収まる。

やくざ内部、上の者が操り殺させるなどが繰り返し出る。暴力的な殺人法が全編に見られる。

GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊 1995

押井守監督の漫画映画。
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サイボーグが普通になった未来社会での、サイボーグ化した警察による犯罪捜査。
身体が人工物の場合、義体といい、精神にあたる部分をゴーストと呼ばれる。

主人公の女警察官(通称大佐)ら勤務する公安9課は、このサイボーグ関連の犯罪を担当。主人公を含め、活躍する警察官がサイボーグである。
工場から逃げたサイボーグが事故に会い、調べるとそれがかねてから捜していた人形使いと呼ばれるハッカーらしい。これが盗まれ、追う大佐はロボットと格闘し、逃げた義体と同一化する。後に大佐は少女となって生まれ変わる。

単に観ていただけでは筋は把握不明な漫画映画である。本作は外国に影響を与え、特に「マトリックス」は良く言及される。

ディケンズ『ボズのスケッチ』(上)岩波文庫、2004年

ディケンズの処女作Skeches by Boz 1836は小説以外にも随筆を含んだ雑集であり、本岩波文庫ではそのうち短篇小説12篇を上下で刊行している。
ボズのスケッチ―短篇小説篇〈上〉 (岩波文庫)
(上)には6篇、「ボーディングハウス盛衰記」「ポプラ並木通りでのディナー」「花嫁学校感傷賦」「ラムズゲートのタッグス一家」「ホレイショー・スパーキンズの場合」「黒いヴェールの婦人」の諸作を含む。

ボーディングハウスでは同名の下宿屋での主人夫妻、下宿人たちのバタバタを描く。個性ある下宿人らの結婚騒動などディケンズ的。ポプラ並木では、その息子への遺産を狙っている、いとこの家に、主人公の独身男は晩餐に招かれる。そこでの体験から甥に遺産をやるものかと意志を固める。花嫁学校では、国会議員の令嬢を託される。気がふさいでいる令嬢は舞踏会で恋人に会って駆け落ちする。最悪の失態に国会議員は怒る。ラムズゲートは、いきなり遺産が転がり込み成金になった庶民一家が、とんでもないペテンに会う。ホレイショーは、すっかり貴公子かと一家の娘が思い込んだ男の真相が最後に暴かれる。黒いヴェールはヴェールの婦人に招かれた若い医師が病人の実際を知る。極めて不気味な雰囲気のディケンズならではの短篇。

ミッション:8ミニッツ Source Code 2011

ダンカン・ジョーンズ監督、アメリカ、93分。
何度も同じ体験(時間)を繰り返す、空想科学+アクション映画。
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シカゴ行きの列車に乗っている。記憶が定かでない。自分は軍人ではなかったか。向かいの知らない女が話しかけてくる。列車は数分後爆発する。すると主人公は何か装置の中に横たわっている。指示が来る。列車爆破テロの犯人を捜せ、次のテロが起こるはずだと。
この主人公は8分間だけ過去に戻れる発明により、列車爆破の8分前にそこへ転送され、犯人を突き止めろとの命令を負っているのだ。しかし本来の自分はどうした、軍人だった、外国で戦っていたのではないか。それを聞いてもはっきりした回答は得られない。

何度も列車に戻り、8分間で同じ経験をし、たいていの場合は、列車は爆破して終わる。その間、向かいの女性と仲良くなり、同じ経験を何度もするので、次に起こることはわかっている。何回かの繰り返しの後、犯人がわかる。次の起こるはずだったテロを阻止できる。
主人公の執拗な要求により、自分は戦争で死んでいた、残った意識を使い、こういう犯人捜しに使われているのだと知る。自分は死んでからも利用されるのか、本来の戦死した男としての扱いを要求し、成功した暁はそうすると約束させる。しかしテロ阻止が成功したので、軍は引き続き他の犯罪防止にも使おうとする。主人公に同情した女軍人は主人公を安楽死させる。それで死んだわけでなく、主人公は向かいの若い女と恋人同士になる。

まず思ったのは、主人公が典型的なアメリカ映画登場人物として、ともかく自己主張の塊で、自分自身の納得を最優先する、多くの人の命がかかっているのだから、まず言われたことをしろと。
そして時間の繰り返し映画、この手を最近観ているので、またかと思ってしまい、大して楽しめなかった。

2019年2月27日水曜日

グレイヴ・エンカウンターズ Grave Encounters 2011

ザ・ヴィシャス・ブラザーズ監督、カナダ、94分。
抜け出せない病院に閉じ込められた若者たちの恐怖映画。
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さも記録映画風に始まる。今は閉鎖されている精神病院。ここで幽霊が出るという。それを撮影しようとする。最初の方、病院の者に幽霊が出ると言わせるなど、いかにもやらせを撮っている、と見せる場面がある。これによって記録している映画なのだと思わせる。
病院内の撮影隊は、例によって超常現象に驚かされる。失踪する隊員がいる。また文字通りお化けが出る。死ぬ者が出てくる。最後に残った者も連れ去られる。

密室から抜け出せない物語であり、以前観たスペイン映画のRECと同じようなものである。そのため勧められて観たのだが、これほど怖くなかった恐怖映画も初めてである。

2019年2月26日火曜日

プリデスティネーション Predestination 2014

スピエリッグ監督、オーストラリア、97分。
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爆発を食い止める男が火傷を負う場面から映画は始まる。
爆発テロによりニューヨークで多数の死者が出たと報道が出る。

酒場で若い男がバーテンダーに自分の過去を物語る。実は女だった。捨て子で幼い時から学力、知力に優れていたが、周りとの協調ができず孤独であった。ある日、好きな男が出来たが、その男にも捨てられる。男の子供を産んだ。しかし子供は攫われる。絶望に陥った女は、自分が両性具有と告げられたので、男になる。自分を捨てた男に復讐したい。
バーテンダーはそれを聞き、その復讐をかなえてやるという。別の場所へ連れていかれる。そこでバーテンダーがタイムマシンを使い、犯罪を未然に防ぐ特別な警察官と分かる。

バーテンダーと共に若い男は過去に遡る。かつての女時代の自分に会う。自分の恋人は自分だった。以前の自分との間に出来た子供は、バーテンダーが攫い、更に過去に行き孤児院に預ける。自分が自分と結婚し自分を産んだという仕組みである。
バーテンダーと共に時間警察官となり、爆発魔を捕まえようとする。そこで冒頭の場面になるのだが、最後には更に驚くべき展開になっている。

これまた時空を駆け巡るという映画にもってこいの題材で、かなり凝った設定になっている。確かに感心するが、こういう時間のからくりをいつも観ていると、またかという印象がでてくるのも確かである。

トライアングル Triangle 2011

クリストファー・スミス監督、イギリス/オーストラリア、99分。
船を舞台にした恐怖映画。
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若い男女数人がヨット、トライアングル号で海に繰り出す。嵐に会い難破する。大きな船を発見、助かったと思う。その船に乗り込むと誰もいない。それに女(主人公)はここを前に見たと言い出す。不思議な指示が書いてあり、しかも誰かいるようだ。男女は次々とその謎の人物に撃ち殺される。主人公は最後にその人物と格闘し、海に投げ込む。すると海上に助けを求めているかつての自分たちを発見する。彼らが乗り込んでくるのを主人公は見る。その中に当然自分自身もいる。そしてまた同じ状況が繰り返されていく。

このように同一状況の繰り返しが映画の大半を占める。映画の最後には更に全体をくくる繰り返しが出てくる。
映画を観ていて当然起こる疑問、なぜあの時こうしないのか、などは改めて書かない。
しかし本作に限らず超常現象を扱った映画を観ていると次のような場面がある。
現実にありえない現象を見る。それを他人に言う。聞いた人間はもちろん信用しない。見た人間はなんとかして信じさせようと説得する。しかしありえない話なら信用しないのは当たり前ではないか。普通の人間なら自分の感覚がおかしいかったのかとしか思わない。ありえない話なら人にするはずもない。それが映画は必ず、躍起になって説得しようとするのである。不自然過ぎる。
この映画でも出てくる。またかと思う。