2017年3月27日月曜日

ジューク『妖魔の秘宝』ポプラ社 昭和32年



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ポプラ社の「世界名作探偵文庫」の一で、南洋一郎の文による。
宝物探しの冒険物語。語り手は医学校を出たばかりの青年、甥の少年とともに偶然手に入れた羊皮紙を基に宝物を捜そうとする。
競合して宝を捜す悪漢たち、彼らとの闘争、謎の美少女出現、古城の隠された部屋、暗号を解く、等々、およそ宝探しの冒険譚の凡ての要素が詰まっている。例えば宝をかつての関係者の子孫が権利を持っている、というくだりを読めばその子孫が誰か検討がつく、など典型的すぎる展開である。
これほどThe宝探しという話もないと思えてくる。

地域が離れている比喩で、東京でいえば中央区と港区と杉並区ぐらい離れている、という記述があるのには笑ってしまった。
 
著者はDavid Dukeといい、南洋一郎のはしがきによれば本書のみ残して夭折した作家らしいが、詳細な情報はわからず本書の原書名さえ不明である。

2017年3月26日日曜日

マッカレー『暗黒街の恐怖』ポプラ社 昭和30年



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ポプラ社の「世界名作探偵文庫」の一で、江戸川乱歩の訳で出されている。
双子の兄弟が、南米から帰って来る。彼らは恩人の叔父を破滅させた、悪徳実業家等三人に復讐するためである。
はっきりと復讐を三人に通知する。三人は探偵を雇い復讐を妨げようとする。しかし双子たるところを活かし、アリバイ作りは完璧である。やり手の探偵も手が出せない。南米の土人から得た武術を使い、厳重な警備もくぐり侵入し悪者を縛り、目前で復讐する。もちろん殺しはしない。

原作はゾロでお馴染みのジョンストン・マッカレーで、1920年代に双子の復讐を描いたThe Avenging Twinsというシリーズを出した。昭和5年に春陽堂から「双生児の復習」という訳本が出ている。これを自由に子供向きにしたものであろう。
 
江戸川乱歩の名が使われているが、実際の執筆者はもちろん別であろう。推理小説的な観点からは双子を使う手法の一つの原型となっているようだ。