2017年11月30日木曜日

エロティコン Erotikon 1929



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グスタフ・マハティー監督、脚本、ゲー・エム・フィルムによるチェコ無声映画。
青年紳士オーラフが列車に乗り遅れ雨の中、駅舎で休む。鞄の中からウィスキー、煙草、ライターを取り出し、物欲しげな駅員にくれてやる。駅員は泊まっていけと言う。彼には娘リナがある。急用ができ、駅員は出かける。残されたオーラフとリナ。エロティコンとは彼が鞄から取り出した媚薬。二人は関係を持つ。明くる日オーラフは立つ。リナは彼を忘れられない。手紙を書く。家を出る。出産するが死産であった。

リナがたまたま乗せてもらった馬車の男が乱暴しようとする。その時、車に乗った紳士に助けられる。紳士は場丁とのもみ合いで負傷する。病院へ行き、献血してもらう。目が覚めると医師は奥さんによって助かったと紳士に言う。紳士とリナは結婚する。
オーラフは今では別の夫人といい仲になっていた。たまたま紳士服店で、その愛人の夫と隣り合わせになる。自分の妻の写真を持っていると偶然、夫は知る。妻に問い詰めるが相手にされない。

ピアノを買いに来たリナと夫。そこでオーラフと出くわす。驚くが双方とも何食わぬ顔をする。リナの夫はオーラフと仲良くなり、オーラフはその家に通うようになる。リナは一人でオーラフの家を訪ね、もううちに来るなと頼む。しかしオーラフからの接吻は拒まない。
夫、リナ、オーラフ三人で食事に行く。リナとオーラフでダンスする。二人の睦まじい様子を夫は見る。同じ場所にオーラフの愛人とその夫もいた。他の女と踊っているオーラフを見て愛人は心穏やかでない。夫は妻がその男ばかり見ているので気になる。

リナがオーラフを愛しているのは確かである。夫はいきなり二人の前で明日旅立つと言う。驚き、後から夫に抗議するリナ。彼女は自分がオーラフの元へ行くことを決心する。書置きを5時になったら夫に見せるよう女中に命じる。その間オーラフは愛人と会っていた。リナがその後に着く。しかし間もなくして愛人の夫がやってくる。隠れるリナ。問い詰める愛人の夫。銃を取り出しオーラフを撃つ。リナは逃げ出し帰宅、まだ書置きが夫の手に渡っていないので安心する。旅立とうと自分から夫を誘うリナ。

最初は浮気者に遊ばれた不幸な少女は、後半になって夫と愛人を両天秤にかけるしたたか者になる。女というものの本質の一面を良く表している。マハティー監督はあの世界初のヌードが出る映画『春の調べ』で有名。
リナは女優の性、オーラフは俳優の個人名、いずれも役名でない。

バタリオン Batalion 1927



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プシェミスル・プラシュスキー監督、脚本製作のチェコ無声映画。
妻の不貞に悩む博士は、ある日帰宅し妻の情人を見つけた。銃で情人と妻を殺す(これは幻想か)。もう人生は終わったと感じ、堕落していく。
社会の下層階級の者が何人か紹介される。彼らが集う場所、それが酒場のバタリオン。博士もその常連となる。ある夜、警官にその仲間が射殺される。裁判になる。博士は証人として呼ばれる。人間でなく見かけで裁判されるのか。警官が下層民を殺しても、下層だから問題ないのか。そのようなことを主張する博士は退場させられる。
バタリオンでは博士の帰りを待っている。彼が来るとみんな歓迎する。その後、かつて博士の仲間だった紳士連中が酒場に来る。彼らは博士に説教する。こんな所はあなたのいるべき場所でない、と。博士は彼らを追い出す。

すさんだ生活をしている博士の元へ裁判官の娘が訪れる。彼女はかつて博士が妻を愛したように自分を愛して欲しいと言う。博士は彼女によって救われそうになる。しかし若い男から本当にあの博士を好きなのかと訊かれ、彼女は研究としてやっているだけ、あんな飲んだくれを、と答える。それを聞いた博士はまた元の乱れた生活に戻る。結局病院で死ぬ。葬儀に参列した中で、本当に博士を愛していたのは酒場の飲み連中たちだった。

紳士が下級層へと落ちていく様を描き、写実的な要素がある。
一般的に言って無声映画の中間字幕はあまり多くなく、それでも筋は大抵たどれるものである。ただ本映画はその中間字幕の数が極端に少なく、正直言ってよくわからなくなる所があった。

映画の最後に本作の音楽について演奏者まで出ていたが、本日(29/11/29)のフィルムセンターの上映は全くの無音であった。