2017年11月15日水曜日

緑の大地 昭和17年



島津保次郎監督、東宝映画。中国での運河建設を背景に原節子や入江たか子などが出演。

中国の青島へ渡航する船の出国手続きから映画は始まる。運河建設に従事する技師(藤田進)の妻である原節子は、有名な学者の娘である入江たか子と同室になる。原は生まれたばかりの赤ん坊を連れ、中国の夫のもとへ向かう。入江は現地で教師をする予定。

青島へ着く。夫は忙しくて迎えにも来られない。現地では運河建設を日中の協力で進めようとしている。経済的な利益を求め画策する日本人がいる。運河の建設を進める中国側の要人の一人に、息子として池部良がいる。

彼は運河建設によって故郷の田や墓が破壊されてしまうので反感を持っている。
恋人が青島へ向かう際にも自立を求める。青島に着いた彼女は、原の家にまず滞在する。ここにいつまでもいていい、仕事を世話しようかと言う原に対して堅い態度を崩さず、よそよそしい態度のまま一泊してすぐ家を出る。彼女は入江が教師をしている学校へ行き、そこで日本語を勉強する。

池部も青島へ来る。彼は親に向かって運河建設反対を述べる。藤田らに対しても、田や墓を中国人がどれだけ大事にしているか、日本人にはわからないと激しく非難する。藤田は日本人にもわかる、新しい事業に犠牲は必要でそこは調整すると答えるが、池部は納得しない。おりからの物価暴騰に加え、現地で運河建設反対の機運が盛り上がる。

藤田の友人で中国に滞在している江川宇礼雄がいる。彼は入江の弟である。長い間中国にいても中国語を喋れず旅行者気分だと言われる。彼につきまとう男は彼から新ガラス事業の情報を盗み、中国人と通じ儲けを企む。
江川は藤田の家に滞在した際、先日たまたま入江と藤田が偶然街頭で会ったことを原の前で言う。更に藤田と二人きりの時にも、かつて姉の入江と藤田が恋人同士で姉はその気があったなどと言う。原はそれを耳にする。ひどく傷つき、藤田と仲が悪くなる。

最終的には、池部ら中国人も誤解を解き運河建設、日中親善に努力する、江川をだました男は制裁される、入江と原は話し合い、原は理解する。最後は運河建設に従事する人々を描き映画は終わり。

いわゆる国策映画で、日本が中国でやっていることは中国のためにもなるのだが、理解されていないと主張している。現実のその後を我々は知っている。作り話とは言え、登場人物たちは日本の敗戦撤退でどうなったかと想像したくなる。

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