2017年11月8日水曜日

ランドン『灰色の幻』ポプラ社 昭和30年



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「世界名作探偵文庫」の一冊、江戸川乱歩名義で出されている。もちろん実際の執筆者は別であろう。
「灰色の幻」とは主人公の義賊。話が始まる前から有名になっているという設定。この賊が犯人かと疑われる犯罪が起こる。実際の犯人である霧男と、灰色の幻との女性ヘレンの安全をめぐる戦いが主な筋である。
ニューヨークの劇場。ヘレンは親と観劇に来ている。その時不気味な事件が起こる。笑い声を発し、若い女性が亡くなるのである。犯人は霧男と名乗る人物。彼はニューヨークの7人の富豪に殺人予告を出す。笑って死ぬ薬を注射されている。解毒剤が欲しければ巨額のカネを出せと脅す。
この霧男なる人物はかつて義賊として、名をはせた灰色の幻ではないかと警察は疑う。ヘレンは灰色の幻を知っていた。その住居も。それで訪ねる。ところが灰色の幻は引越ししておらず、不思議な男に監禁される。

灰色の幻は、犯人はかつて自分が使っていた男の一人かと思う。脅されている富豪の一人に助けを求められる。その富豪が霧男かと思ったが、電話が来る。ヘレンを預かっている、命を助けたかったら事件から手を引け、街から出ろと。ヘレンには笑い殺す薬を注射してある、街から出たら解毒剤を投入する、と言われる。
灰色の幻は、今は賊の巣窟になっているかつての自分の家に行く。かって知ったる家なので秘密の通路で、薬を発明した男のいる部屋までたどり着く。解毒剤の入手をめぐって悪漢どもと駆け引き。最終的にはヘレンを助け出す。
最初に事件が起こった劇場、ここで霧男が誰か、判明する。読んでいれば見当がつくのだが、真相を知ると灰色の幻は驚く。
ヘレン救出のあたり設定が今なら文句が出そうだが、昔の冒険映画ならありそうな展開である。

昭和15年に博文館からやはり『灰色の幻』という題で出ているのでそれの再話であろう。
原作者はHerman Landon、原題はThe Grey Phantom1921年の出版。今でもペーパーバックで出ているようだ。

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