2017年11月26日日曜日

アラン『謎の指紋』ポプラ社、昭和31年、南洋一郎文



 
世界名作探偵文庫で『幻の怪盗』に続く物語。怪盗ファントマと青年記者との対決。
画家のアトリエで、その画家を援助している裕福な夫人の死体が発見される。青年画家ドロンは容疑者として逮捕される。この逮捕に疑問を持った青年記者フランドールは警察に行く。すると容疑者ドロンは独房内で自殺したと聞かされる。その死体を確認しようとしたら、死体は紛失していた。記者は画家の妹エリザベトに同情し心惹かれる。
記者は下水道で画家と思われる死体を発見する。このような殺人はファントマに違いないと確信する。

ロシヤの貴族未亡人が誕生パーティで眠らされ高額の宝石を盗まれる。しかし残っていた指紋を調べたところ、あの画家ドロンのものであった。前作『幻の怪盗』で死んだかと思われた刑事ジューブは変装で事件を探っていた。
エリザベトは兄から預かったという人名簿について記者に連絡する。しかし彼女自身殺されかけ、人名簿は紛失したらしい。この犯罪現場でもドロンの指紋が見つかる。彼女の記憶で人名簿の名を聞くと、殺人の対象となる人物一覧らしい。
その後も犯罪が続き、いづれもドロンの指紋が見つかる。さてはドロンの正体はファントマか、と記者は疑う。その人名簿が見つかる。エリザベトが別の場所に隠しておいたことを思い出したからだ。これまで殺された者の他、パリの有数の銀行の頭取二人の名があった。

記者はその銀行は行き、頭取たちに事情を話す。自らも銀行に寝泊まりして監視したいと言う。その夜、記者の寝ていた寝台が動き出し、彼を絞め殺そうとする。間一髪危機を逃れた彼は、怪しい人物と暗い銀行の中で格闘する。不審者は逃げ出す。記者と銀行頭取二人、それに銀行に勤める怪しい者4人で部屋に集まる。最後の者は刑事ジューブの変装だった。彼はファントマをもう捕まえたと言う。これまでの犯罪の真相を語る。頭取二人がファントマだったのである。指紋は画家ドロンを殺し、その手の皮を使ってつけていたのだ。ファントマたちはその部屋から逃げ出し、銀行中庭の小屋で警官たちと銃撃戦をする。しかしその小屋に隠してあった大錦蛇に巻き殺される。

前作に引き続き、殺人の多い冒険活劇である。昔懐かしい。

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