2018年1月18日木曜日

死滅の谷 Der müde Tod 1921



フリッツ・ラング監督の白黒無声映画。

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婚約者の男女が、馬車で田舎町へ向かう。途中で一人の不気味な男を乗せる。話は遡る。田舎町の墓地の隣の空き地を買いたいという男が現れた。町の議会は議論をするが、男のカネに負けて売り渡す。その土地に高い塀を築き、外からは何も見えない。

馬車に同乗したのは、その男である。着くと酒場に入る。婚約者同士ということで祝いを言われる。怪しい男は同じ卓につく。女が席を外し戻ってみると婚約者はいない。聞くと怪しい男と一緒に出たという。女が男を捜すが見つからない。
怪しい男は死神だった。婚約者は寿命が来て、死神に連れていかれたのである。女は絶望し自らも命を断とうとする。気がつくと死神がいる。今消えかかっている命が3つある。その中の一つでも助ければ、男を返そうという。

女は過去の旅に出て、夫々の挿話のヒロインとなる。
まずバクダットのカリフの妹になる。彼女には恋人がいる。しかし回教徒でない。危険を犯し宮殿の恋人のところへ来る。カリフは彼を捕えようとする。妹は匿おうとするが最後は叶わず殺される。

次はヴェネティアである。好きな恋人がいるのに嫌いな婚約者に迫られる女。嫌いな婚約者を騙して殺そうと計画する。しかしその計画は婚約者にばれ、自分の代わりに恋人を寄こさせる。謝肉祭で仮面をかぶっているのでわからない。嫌な婚約者を片付けたと思ったら自分の恋人を殺していた。

最後は中国である。魔法使いは王のわがままな頼みを聞き、魔法を披露する。しかし王は魔法使いの娘に目をつけ、娘を欲しいと言い出す。彼女には恋人がいた。恋人と逃げ出す女。捕まえに兵隊たちを差し向ける。魔法を使って女は追手を退散させる。強者が追ってくる。女は魔法で自らを仏像に、恋人を虎に化けさせる。しかし追手の弓で恋人は殺される。

いずれの話も下手人は死神が化けた者だった。
三人の救命に失敗したが、死神は最後の機会を与える。誰か代わりの命を持って来れば、男は助けるという。女は死にそうな老人たち、あるいは絶望している浮浪者に命をくれと言うが、たちまち拒絶に会う。火事が起こる。赤ん坊が置き去りになっている。女は炎の中へ飛び込む。赤ん坊を見つける。差し出すつもりでいたが、実際にはできない。赤ん坊を助け、死神には自分の命を取ってくれと言う。
女と婚約者は死神の導きで、永遠にいられるようになる。

死を乗り越える愛、が主題なんだろうが、途中の挿話は全体の筋とは直接関係しない。観客に対するサービスのつもりもあったろうが、現在ではこのような作り方はしないだろう。

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