2018年6月3日日曜日

鬼の棲む館 昭和44年


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三隈研次監督、大映映画、総天然色。

南北朝時代の荒れ果てた山寺。そこに都から逃れた勝新太郎と、情婦の新珠三千代が住む。映画は勝の正妻である高峰秀子が訪れるところから始まる。
高峰は勝を取り戻そうとするが、新珠の色香に迷っている勝にはその気はない。三人の生活が始まる。荒れた世の中で、勝は強盗などで生計を立てている。

ある日、高峰のみ寺にいる時、修行中の佐藤慶演じる高僧が休みを求めて来る。佐藤の話に感心する高峰。勝と新珠が帰ってくる。驚く佐藤と新珠。二人は以前愛し合う仲だったのである。
勝は、佐藤が持っている金の仏像を見ると、寄こせと脅す。しかし剣でもって佐藤を斬りつけようとすると、金剛像が光り、目がくらんで勝は腑抜けになる。
その後新珠は、妖艶な手管で佐藤を誑し込む。自分が征服した佐藤を見て哄笑する新珠。
最後に新珠を斬り、勝は改心して出家する。

新珠が女の本性ともいうべき妖婦を演じ迫力がある。高峰はまともな女の役なので精彩に欠けるようにも見える。よく思うのは、誰がやっても名演みたいに見える役と、あまり印象に残らない役がある。もちろん前者は悪役やアル中、精神異常者など普通人でない役で、後者は役として凡人を演じる場合である。ここで新珠は前者で、当然記憶に残る。

谷崎潤一郎の原作で、文字で読むとさして不思議に思わないが、映像化されると、これで良いのかと思うものがある。この映画など最後の終わり方でそう思った。

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