2014年10月7日火曜日

不壊の白珠

題名は「ふえのしらたま」と読む。昭和4年の清水宏監督の無声映画。八雲恵美子主演、恋人役に高田稔、妹に及川道子。原作は菊池寛。


 フィルムセンターで以前みたことがある。今回は中間字幕が明瞭になったということ。また原作もずいぶん前に読んだ。

タイピストの八雲は同じ会社の高田を密かに慕っている。しかしその高田から妹と結婚したいと打ち明けられ、ショックを受ける。妹のために結婚を祝福する。その妹は奔放な性格で結婚後固い一方の夫に飽き、男友達と遊び回っている。八雲は高田から頼まれ妹を連れ戻すが、妹の心は既に夫にない。八雲は自分が勤めている会社の専務から結婚の申し込みを受ける。中年で前妻の子供が3人もいる。その邸を訪れると子供から女中と間違われ、職業婦人と馬鹿にされる。高田は外国へ旅経つことになり、港で八雲は見送る。まだ専務と結婚するかどうか気持ちは決まっていない。

八雲美恵子は美しい。デビュー当時大人気であったこともわかる。こういう寂しさを湛えた美人が戦前は人気があったようだ。及川は夭折した女優、ここではモガという、日本的な八雲と対照的な役割を演じている。高田は二枚目俳優で非常に人気があったとか。ここでは化粧の白塗り等もあってややのっぺりした感じを受ける。戦後は脇役の俳優というイメージだが中年以降の渋い高田のほうが見栄えがすると思う。

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