2014年10月17日金曜日

全線

エイゼンシュタインの1929年の映画。別名『古きものと新しきもの』。『戦艦ポチョムキン』より4年後。いかにソ連の共同農場は発展したかを描いた映画。



 ロシヤの農村では古いやり方で農業を営んできた。各人が自分の領地を囲い込む。畑を耕すにも馬か自力でやるしかない。共産党員がやってきて協同組合の必要性を説く。これまでの農法ではうまくいかないと知る農婦は賛同する。ただし大部分の農民は冷やかな目で見て取り合わない。酪農が村では盛ん。協同組合が牛乳の分離器を取り入れるとその効果に感心し組合員が増える。売上が多くなってその収益を農民間で分配しようとする。指導者の共産党員はそれをたしなめる。カネは組合に戻る。より発展させるためには機械が必要である。機械即ちトラクターを購入するため農婦らは都会へ行く。工場では官僚主義でろくに対応もしてくれない。責任者をどなると署名がもらえトラクターが村でも入手できた。トラクターが来て試運転をする。泥にはまって動かなくなる。農婦のスカートを運転手が破りそれをトラクターに詰めて動くようになった。最後は象徴的に多くのトラクターが大地を耕し、個人領地間の垣根を取っ払っていく。

 これも主題はソ連の集団農法の宣伝映画とすぐにわかる。それだけならその後を知る今では鼻白むし、ソ連見解の歴史的資料としての価値は認めるものの、映画としては歴史資料だけかになってしまう。そういった見方(だけ)をするのでなく、農民たちがより良い生活のため闘う、また面白い場面が出てくる映画として鑑賞すればよい。結婚式が行われる。どんな新郎新婦が出てくるかと思ったら牛のかけあわせなのである。雲の中に浮かぶ牛のイメージとか、あとむやみに個人の顔の大写しが出てくる。当時のソ連映画の特徴でもある。

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