2014年10月15日水曜日

メニルモンタン

ロシヤ出身の監督キルサノフによる1925年のフランス映画。フランス印象派に分類される。


 ショッキングな場面から始まる。男二人と女が争っている。そのうち一人の男が斧を振り上げ打ち下ろす。場面は変わって二人の幼い少女が戯れている。姉妹である。田舎の道をうちへ戻ってくると目をむいて立ち尽くす。先ほどの争いは二人の母親が不倫の最中、夫が帰ってきたことによる惨劇であったのだ。何年かたつ。パリあたりか都会。二人の姉妹は成長し若い女性になっている。孤児となったが助け合って生計を立てている。妹が恋人の青年に求められ関係を持つようになる。その恋人を待っていると自分の姉と同じように逢っているので衝撃を受ける。自分の時と同じ建物へ姉を連れ込んでいく。産科の建物の前。妹は赤ん坊を抱いている。当てもなく川沿いの街をさまよう。川面を眺め自殺を考えているのか。公園のベンチに座る。息が白い。寒い時期とすぐわかる。隣に座った老人がパンを食べ始める。様子を察した彼は無言でパンを置く。妹はそれを食べる。赤ん坊を抱いて路地に佇んでいると向うに街娼が見える。良く見ると姉である。姉もこんな姿になっていたのだ。妹が子供を見せる。姉妹揃って子供をあやす。少し離れたところからこれを眺めていたのが二人を捨てた青年であった。その青年に後ろから声がかかって見ると別の若い女である。連れの男がとびかかる。二人は殴り合いとなる。若い女が青年の頭に石塊を投げつける。

 無声映画である。中間字幕が全くない。元からない。筋は大体わかる。ただし冒頭の争いで犠牲となったのが二人の親、その原因が不倫とか、後からインターネットで知った。最後に現れる女性はやはり青年に騙されたので復讐に来たのだろうと想像できる。主人公である妹役は監督の妻、ナディア・シビルスカイヤが演じた。目の大きな、人形のような美人である。極めて印象的な映画である。

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