2014年10月4日土曜日

芸者小夏

岡田茉莉子主演、監督は杉江敏男による昭和29年の映画。岡田の初主演作だそうである。昭和8年生まれの岡田はこの時21歳。原作は舟橋聖一で公開当時は大人気だったそうだ。

 話の筋は次のよう。
富士山の見える温泉の芸者をしている小夏。中学卒業で芸者になって間もない。小学校の同窓会で憧れていた先生の池部良に会う。彼は田舎の学校教師が嫌で東京の会社に就職したく温泉へ療養に来ている会社社長に頼む。その際自分の教えが芸者をしていると述べたので社長は興味をもって席に呼ぶ。その場に先生がいるので驚く小夏。小夏が気に入った社長は落籍せて自分の妾にしようとする。先生は小夏に恋していたので、社長が夜伽のため小夏を呼んだ夜、待ち伏せて自分のものになってくれと頼む。小夏は尊敬していた先生にそう言われたくないと断り、社長のところへ行く。

社長に連れられて東京の妾宅で一人住まいするようになる。社長の来ない日は時間を持て余す。留守中に社長が来て家で待っていると叱られる。ある日零落した先生が訪れる。もちろん社長の会社には入らず、転校した先でも小夏との噂を立てられ辞任したとか、愚痴をこぼして帰っていく。その後は社長が亡くなる、遺産はないようだというお決まりの展開。

 全く芸者というのはモノとして売り買いの対象であったと改めて思った次第。芸者も自分の意思でやっているとか、人の言いなりになって生きることも気楽かもしれない。ただしかつてはそういう状況に否応なく置かれて自分でどうこうできるとは思えない人生を歩んだ人が多かった。

映画で東京へ来てからの下りは余計に思えた。田舎での三角関係をもっと掘り下げた方が良かったのではないか。
池部がこの映画嫌っていたというサイト見つけた。
http://www.eibunsin.com/memory/011.html
それはわかる。この先生優柔不断で愚痴だけの男として描かれている。

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