2025年5月29日木曜日

マジカル・ガール Magical girl 2014

カルロス・ベルムト監督、西、127分。この映画を勧めたいのは、あまり類のない展開をするのでそういう映画を見たい人。勧めないのは楽しい結末を期待する人。次にどういう展開をするのか、興味を持って見られる。映画にはパターン化した筋でおおよその見当がつく物が結構ある。全部説明されておらず観客の想像に任せるところがある。

12歳の少女がいる。日本のアニメか何かの魔法少女なるものの大ファンである。白血病にかかっており余命僅かである。その父親は文学の教師であるが今は失業中の身。母親は出てこない。不治の病に侵された娘を父親は溺愛している。娘は父親にとって魔法ガールなのである。娘のノートを見たら好きな魔法少女の衣装、コスチュームを欲しがっているようだ。インターネットで調べるとかなり高額である、という設定になっている。金の工面をしようにも失業中で本を売るくらいでは追いつかない。

別の登場人物が出てくる。精神科医の夫を持つ女。身体も心の方も病んでいる。薬のせいか吐き気を催し、窓から下に向かって嘔吐する。ちょうどその時、下の街路に父親がいた。なぜいたかというと、金がないのでショーウィンドウにある品物を盗もうとして、今割らんとするところだったから。父親は汚物を浴び、女は駆け降りて来て謝り、部屋で服を洗濯して乾かせと勧める。二人は話しているうちに、父親は女を抱こうとする。女は初めは拒否するが、最後は一夜を共にする。後になって父親は自分が寝た女に恐喝をする。金を出せ、さもないと寝たと旦那にばらすぞと。女は金を工面するため、友人に頼み売春を世話してもらう。恐喝で手に入れた金で父親は娘に魔法少女の衣装を買ってやり、プレゼントとして渡す。少女はもらってから衣装の周辺で何か捜している。父親はまたインターネットで調べる。実はこの魔法少女はバトンのような物を持っており、それは別売りでべらぼうに高い、という設定である。この高額商品を買うため、また父親は女に要求する。女はそんな金は出来ないと言うが、父親はまた恐喝し、女は危険を承知で危ない橋をまた渡る。

更に別の登場人物が出てくる。刑務所に服役している眼鏡の中年男である。どんな罪を犯したのか。明示的な説明はない。女と過去に関係があり、女を愛しているので罪を犯した。女を純潔な存在と思っており、そのために刑務所に長年入っていたのである。眼鏡男にとって女は魔法ガールだったのである。出所した眼鏡男のところにけがをした女が助けを求めてやってくる。女はあなたしか頼れる相手はいないと言う。眼鏡男は病院に入れた上、女の夫の精神科医に連絡してやる。やってきた夫は眼鏡男に感謝する。女と眼鏡男が二人きりになってから、女は夫は過去を知らないから、といい自分がこんな目に会ったわけを話す。加害者はあの父親であった。眼鏡男は酒場で父親と対峙し、女との関係をただす。父親は、関係を持ったのは相手もその気だった、和姦だったと言うと眼鏡男は驚く。その後、男を射殺し、関係者を皆殺しにする。恐喝のねたに使われた、二人が寝た際の録音が入っているスマートフォンも奪う。女の病室に行く。しかし録音は渡さない。勝手に理想化していた女への幻滅のせいか。


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