2015年3月8日日曜日

ジィド『贋金つかい』 Les Faux-monnayeurs 1925年

ジィドの「純粋小説」と言われている長編。実験的な試みという感じがする。



話は要約にしくい。複数の上流階級の青年の間や彼らと小説家の交流が描かれる。出てくる小説家が『贋金つかい』という小説を書いているのである。

純粋小説というのは、この作品の中で登場人物の小説家が書いているところによると「小説から、とくに小説本来のものでないあらゆる要素を除き去ること」らしい。具体的に言えば特定の視点からでなく小説を記述することとよく解説されている。実際、複数の人物の複数の事件等が並行して進み、どのあたりに重点が置かれているかわからない。

小説の手法として目新しい試みであったのであろう。

しかしながら出来栄えが良いかという基準を読んでいて、面白いかと問われれば、あまり面白くもない小説である。手法自体の他との違いに重きを置かなければ、どの程度自己主張できる作品であろうか。
山内義雄訳河出版世界文学全集。

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