読んで面白いと思ったのは、我が国へドストエフスキーがどのように翻訳や紹介されたかをまとめた最初の章「ドストエフスキーの移入、その受容のいきさつ」とそれに続く「人道主義的受容の時代」あたりである。
きちんとまとまった研究文献は他にもあるようだが、簡単にまとまっており読み易い。人道主義的受容とは大正時代の白樺派による解釈で、『貧しき人々』や『虐げられた人々』あたりを主とする。今どきこれらをドストエフスキーの代表とみなす人は少ないであろう。初期はそういう受容の仕方があったのである。
ほかにはパスカルとドストエフスキーの類似を議論している文もあり、パスカルとの親近性など今まで思ったこともなかった。今度パスカルを見直すときには注意してみようと思った。
各章の初出一覧がないのは残念である。
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