2015年3月7日土曜日

BOL-声をあげる- 2011年

パキスタンのマンスール監督による153分に及ぶ総天然色映画。頑固で保守反動というよりあまりに自分勝手すぎる父親とその犠牲になる娘たち。


題名のBOLはウルドゥー語で「声をあげる」という意味。

話は女死刑囚が絞首刑執行の前にマスメディアを呼び、犯罪の原因を説明しようとする場面から始まる。

家庭はほとんどが女の子ばかり。伝統医術を扱う医師の父親は頑迷固陋を絵にかいたような者。きょうだいのうち一人だけ男がいたが性同一障害。絵の才能があるのでその仕事をさせたら仲間から陵辱を受ける。父親はこの子供を恥じており自ら殺めてしまう。警察に対しては賄賂で片付ける。

更に家庭の経済状況が逼迫し、父親は色街へコーランの教師へ出かける。そこの買春業者からなんと自分の女と寝て、女の子を産ませてくれと頼まれる。非常識に聞こえるが、これは子供の性別は父親による。女の子ばかり7人もいるからまた子供ができれば女だろう。買春業としては女の子が欲しいからというのだ。父親は最初呆れるがカネのため引き受ける。

この間、長女は妹のうち一人を恋人と結婚させる。これを知った父親は激怒し娘を打擲する。

やがて思惑通り女の子が生まれる。父親はこの子が欲しくなるが、買春業者から追い出される。生んだ女がこの赤ん坊を父親の元へ持ってくる。家族は初めて事情を知り母親は号泣する。父親は今度はこの赤ん坊も殺そうとする。それを止めるため長女が父親を打ってしまう。

長女はこのため死刑を宣告されたのである。
話をきいた記者の一人が死刑執行停止を求めるが空しく執行されてしまう。

父親の非常識ぶりが目についてあまり冷静に見ていられない映画である。もちろん映画も冷静に見てもらおうと思っているわけだろう。また父親の非難で終わるのでなく、より良い社会へと改善していきたい意図であろう。

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