2014年12月16日火曜日

大人は判ってくれない Les Quatre Cents Coups 1959

トリュフォーの長編第一作の映画であり、ヌーヴェルヴァーグの代表作でもある。



 主人公の少年は親に理解してもらえずというか疎まれていると感じ、学校ではいたずらにとどまらず、ずる休みして悪友と遊んだりしている。特に母親からは嫌われている。両親は彼の扱いにうんざりし、また夫婦仲も良くない。少年が家出をした際にはさすがに心配したようだ。悪友は金持ちであり、自分の家のおかねを盗むことになんのやましさも感じていない。そんな彼と組んで父親の会社のタイプライターを盗み、かねに替えようと計画する。持ち出したものの、換金できず会社に戻したところを守衛にみつかる。さすがに今回ばかりは両親も我慢ができず警察に頼んで少年を鑑別所に送ることとする。

 最後の場面、少年が海辺で立つ姿は随分以前みたときの印象に残っていた。改めて見直し、全体の映像のみずみずしさに感心した。
この少年のように子供時代親から好かれなかった、ただし学校のさぼりも家出もしなかったし、もちろん盗みも鑑別所送りになったことはない、そう思う人は多いだろう。しかし実際に家出や悪事をしたかどうかでなく、子供の頃のあの言いようのない不安、親から疎まれている悲しさを経験した者なら共感をもてるだろう。

主人公を演じたジャン=ピエール・レオを、その後も主人公にしてシリーズを取り続けたことは有名。ただしこの少年時代の彼が一番可愛く大人になってから(といっても若者だが)はそれほど魅力的でない。
題名は日本でつけたものであり、原題の直訳は400回の叩き、フランス語で400回叩くとは放埓な生活を送るという熟語だそうだ。

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