2014年12月24日水曜日

東京の恋人 昭和27年

千葉泰樹監督が戦後の銀座を舞台に描いた人情もの。三船敏郎と原節子の共演。



 銀座で原節子は似顔絵描きをしている。その際にある宝石屋の夫婦(十朱久雄と沢村貞子)は展示用に模造ダイヤの製造を三船敏郎に頼む。彼は偽ダイヤ作りを商売にしていた。建物の上のパチコン玉製造の社長森繁久弥は二号の藤間紫にせがまれダイヤを買うことに。森繁は偽のダイヤでいいと宝石屋に言う。ところが沢村が本物のダイヤを偽と間違えて森繁に売る。藤間も貰ったものの、これを現金化したいと思い宝石屋に掛け合うとそれは偽と言われる。怒って森繁に怒鳴り込んでいる途中、森繁の妻清川虹子がたまたま社に来て聞き、てんやわんやの騒ぎとなる。偽物ならどうでもいいとそのダイヤを社の女事務員にくれてしまう。

原や女事務員、また路頭で靴磨きをしている少年たちの仲間に街娼の杉葉子がいた。体を悪くし、それを三船が助けアパートまで送る。杉は、国の母宛の手紙を原に書いてもらうがそこで自分に夫がいると書く。母を安心させるためである。その夫は三船を想定していた。病状悪化で母を呼ぶ。このあたりの展開はフランク・キャプラの映画そのままで、三船は夫役を引き受けさせられる。

杉の治療費捻出のため女事務員は偽でもいいからダイヤを売ろうと思っていると、バスから落としてしまう。更に勝鬨橋の開帳によって隙間から川へ落ちる。後に実は本物とわかって社長夫婦は手に入れるべく潜水夫を雇い必死になって捜す。

 偽ダイヤを巡るドタバタと病気の杉の看護事情が、三船と原のロマンス以前をからめて進み、詰め込み過ぎとの批判もあるようだが、随分お得(?)感がある。勝鬨橋は当時は1日5回開閉していたそうだが、いずれにせよこれほど勝鬨橋が活躍する映画もない。

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