2014年12月15日月曜日

悪の愉しさ 昭和29年

千葉泰樹監督が東映でとった犯罪映画。白黒である。

主人公(伊藤久哉)は他人を騙して儲けができれば喜んでいる自分勝手なけち臭い性格のサラリーマン。女に対しても持ち前の強心臓で自分のものにするなど自らの欲望を充たすためには躊躇しない。
他人の家に間借りしていて、強気の妻(杉葉子)は立ち退きを迫る家主の未亡人と不仲。引越しを願っているものの、しがない夫の稼ぎでは叶わなく彼に厳しくあたる。
会社の女事務員(久我美子)が結婚する。以前関係を持ったことがあり今でも未練がある。女の方から口止め料、手切れ金のようなものを持ってくる。色魔のような彼は家主の未亡人、病気のため休んでいる同僚の夫人を次々と征服する。

女事務員の夫がカネを使い込みその穴埋めのため彼に借金を申し込む。体の提供を条件として了承する。ただ必要なカネはあまりにも大きい。

一方彼の友人で不動産業を営む男(森雅之)は羽振りがよく男性的である。妻は実家へカネを借りに帰郷する。同じとき友人も旅行に出かけていた。どうも二人は同行したらしい。友人が大金を服に入れるのを目撃する。その後二人で飲みに行き、帰りの自動車の中で友人を絞殺しカネを奪う。奪ったカネで女事務員をものにする。
アリバイ工作は完璧と思っていたものの、簡単に見破られ警察に捕まる。逮捕後の彼には会社からの解雇、妻が離婚届けを出したことが知らされる。検察の取り調べの際、飛び下り自殺する。

主人公が心の中で思っている独白が劇中何度かあり面白い。彼は全く同情されない悪党である。いわゆるアプレ的な人物像そのままのエゴイストを描いた映画と言える。

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