副題に「資本論講義」とあって資本論の内容を、経済学者の大内が作家の野坂に講義する書かと思った。何しろ難解な『資本論』であるから、講義形式の説明であれば分かりやすいかと期待したのである。
しかし期待は裏切られた。資本論についての議論でなく、ほとんどは野坂が疑問に思う経済の実際について質問する。それに対して大内の回答はマルクス経済学者であるから、きちんと答えられない。香港では製造業など無いのに香港ドルが強いのはなぜか、という野坂の質問に大内は、さて、難しい問題ですね、というだけで問題を逸らしている。野坂も質問するより、自分がよく喋りたいようで、戦後などの自分の経験を語ったりしている。途中で投げ出してしまった。
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