市井人なのだが、なぜか多くの本を出している人。映画好きには古典映画が好きな人と、新しい映画を主に鑑賞の対象とする人がいる。著者は後者である。
最後の章に著者のベスト15がある。その前に北野武のベスト10が書いてあるのだが、北野の選択した映画をコケにしているのは納得できない。北野は古典的定番映画を多く挙げており、「天井桟敷の人々」「2001年宇宙の旅」「時計じかけのオレンジ」 「七人の侍」などがある。この著者は北野のベスト映画の多くを見ていないと言い、「2001年宇宙の旅」「時計じかけのオレンジ」を愚作ではないかと断じる。愚作と感じるのは個人の勝手だが、理由を書いていない。嫌いな物を好きになる必要はないが、愚作と書くならその理由を書くべきではないか。本にして出版しているのだから。北野のベスト10の最後に「鉄道員」とあるが、ピエトロ・ジェルミか高倉健の出ている映画か明記してないのも不親切ではないか。
著者のベスト15は次のようである。「七人の侍」「切腹」「逃亡地帯」「夜の大捜査線」「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」「カリートの道」「アポロ13」「ブラス!」「グリーンマイル」「リトル・ダンサー」「アトランティスのこころ」「冒険者たち」「ワールド・オブ・ライズ」「ジャンゴ 繋がれざる者」「ラ・ラ・ランド」。「カリートの道」の階段場面で「アンタッチャブル」もその基の「戦艦ポチョムキン」についても言及がない。「冒険者たち」ではジョアンナ・シムカスが好きだと言っているのに、「若草のもえる頃」について何も述べていないのはなぜか。もし見ていないのなら、こんな本を出すべきではない。
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