2025年6月19日木曜日

壜の小鬼 The bottle imp 1891

ハワイの若い男がある壜を買い取る。その壜には悪魔が住んでいて、持ち主の願いを叶えてくれる。しかし不幸が訪れる。また手放す時は買った値段より安くしなければならない。壜の事情を話す必要もある。買い取った男は夢であった、立派な邸宅を手に入れる。しかしそれは叔父が死んだせいで土地がまず手に入り、更に叔父の遺産で邸宅を建てられたからであった。

男は若い女を見染める。相手も好きになってくれた。しかし男の体じゅうに斑点が多く出る。不死の病にかかったのだ。治す手だてはあの壜をまた見つけることだった。なんとか捜す。捜して治そうとするが、売り渡さなければ、不幸が襲う。しかも値段が既に最低の価格になっていた。絶望するが、妻はフランスなどではもっと低い貨幣の単位がある、そう言って仏領に渡る。

壜の悪魔で不幸になるのは嫌だから売れない。妻はある老人に頼んで低い値段で買ってもらい、自分がそれより低い値段で買い取る、という条件で夫から壜を買い取る。病気は治り、夫は狂喜する。しかし妻が今度は壜の所有者になった。他の者に売るが、その男は売らないというので、ようやく夫婦に幸せが訪れる。(岩波文庫、2011年)

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