2020年11月12日木曜日

悦楽 昭和40年

 大島渚監督、松竹、91分、総天然色映画。

中村嘉葎雄演じる主人公の男は、自分が家庭教師をしていた少女に恋していた。その少女が大きくなり結婚することになる。かつて少女に暴行を働いた男から脅迫状が来る。金を寄こせと。中村は少女の両親から事情を聞き、金を渡しに行く。その後列車で男が帰郷する時、殺す。

その数日後、ある男が中村のところに来る。中村の犯罪を知っている。それをねたに話を持ち掛ける。男は公金を拐帯しており、3千万円を中村に預ける。自首して刑務所から出た後取りに来る。それまで保管を頼む。もし金を使うなり逃げていたら警察に中村の罪を告げる。

この後、男が警察に自首してから中村は2年間で3千万円を使い尽くす計画を立てる。自分の相手の女を見つけ、月あたり百万円で相手になると約束させる。最初の女は結婚していてその情けない夫は、借金で首が回らないので中村のところに来て土下座して頼む。自分の不幸を楽しんでいる夫婦と中村は見なし、金をくれてやり問題をなくならせて、その実不幸になるだろうと期待する。

次に見つけた女は街娼であり、後で紐の男がいると分かる。男が脅すので中村は金をくれてやる。後からその男は、公金横領の男が金を託した男を捜していると中村に相談する。その横領の男は獄死したと言われる。それを聞いて中村は笑い転げる。男が出所してきた時、金がない、それで殺されるだろう、だから使いきった。もう男が死んでいるならそういう心配はない。男がきくので、中村はその金を預かった男は自分だ、ただしもう使いきったと笑う。男は怒る。中村を襲うが代わりに中村は相手を殺す。

自宅に帰るとあの結婚した、自分が好きだった女が来ている。加賀まりこが演じている。夫の会社が潰れそうだ、金があると聞いたので貸してくれと頼む。中村は無いと答える。どうして大金を手に入れたかの質問に対して、ある男を殺したのでその秘密を握られている男の言いなりになったと答える。

中村が道を歩いていると刑事が二人で中村を拘束し、殺人容疑で逮捕すると言う。少し前の殺人かと聞くと数年前の殺人だと言われ、もう一つあるなら後で聞くと言われる。誰から知ったかの問いには数年前から知っている女だと聞かされ、加賀が警察に通報したと分かった。

全体の枠組みがいかにも映画的というか、実際にはまず起こりえない話だが、映画ではよくありそうな設定である。

0 件のコメント:

コメントを投稿