2020年11月8日日曜日

太宰治『東京八景』 昭和16年

 何か東京名所案内のような題名であるが、太宰の自叙伝的、小説家としての日常を書いた小説である。小説を書くため温泉宿に行くところから始まる。その後は、大学入学後、何をしていたか、文学創作の苦労、また以前より知っている芸者小山初代(頭文字Hで表記)を東京に呼び出して一緒になりどうなったかなどが主な内容である。

太宰ファンなら知っているであろう、大学時代及びそれ以降の放蕩ぶり、田舎の兄らに迷惑をかけたなどが書いてある。最後は戦時中の作品らしく、義理の弟が出征するので見送りに増上寺に出かけた時の様子である。

題名の東京八景とは、名所選でなく太宰自身が気になって覚えていたところである。戸塚の梅雨、本郷の黄昏、神田の祭礼、柏木の初雪、八丁堀の花火、芝の満月、天沼の蜩、銀座の稲妻、板橋脳病院のコスモス、荻窪の朝霧、武蔵野の夕陽などである。

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