2019年4月28日日曜日

脅迫(おどし) 昭和41年

深作欣二監督、東映、白黒、84分。
二人の脱獄犯が一般家庭に逃げ込み脅す。ワイラーの「必死の逃亡者」と同じ設定である。若干異なるのは、脱獄犯は赤ん坊を誘拐しており、身代金を要求してから高飛びしたい、それに家の者が協力を強いられる、という点である。

会社員三國連太郎の家に脱獄犯、西村晃と室田日出男の二人が赤ん坊を連れて押し込む。三國が西村らの身代金要求に使われ、そのあたりが見ものとなっている。
「必死の逃亡者」と比べると一家の主人の違いが際立つ。アメリカ人は必ず悪人に脅迫されると毅然たる態度で臨み、時には挑発するような言動をする。それに対し三國は全く小心者で脱獄囚の言いなりである。出かけている最中に妻が室田に暴行されそうになる。それを見つけた三國は妻を殴りつける。女を殴るくらいしかできない日本の男を表しているのか。
更に三國は言われた身代金受け取りに失敗した後、汽車に乗って逃げようとする。家族を脱獄犯の元に置いたままである。さすがに気を取り直し帰宅する。

このような三國のダメ男ぶりは、最後に活躍する場面を際立たせようとする対照を作っているかもしれない。最後の街中での活劇はまた見ものである。
どうも「必死の逃亡者」との比較が頭から離れないし、劇中にこの場面、脱獄犯から逃げられるのではないかと思うところがあったものの、それなりの出来になっている。

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