2019年4月28日日曜日

狼と豚と人間 昭和39年

深作欣二監督、東映、白黒、95分。
長男が三國連太郎、次男が高倉健、三男が北大路欣也という三人兄弟のカネを巡る争い。
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三人兄弟はいずれも貧民窟育ち。三國は貧民窟を飛び出し今ではやくざ組織の相当な地位にいる。高倉も飛び出し、悪事を重ね今では情人(中原早苗)と一緒にいる。北大路は母親の世話をし、その死後はチンピラどもと徒党を組んでいる。

高倉は仲間(江原真二郎)と、やくざからのカネ及び麻薬の強奪計画を立てる。ただ実行部隊として人手が必要である。北大路とその仲間たちに一人頭五万円で協力を頼む。自分を捨てた憎い兄だがカネにつられる。やくざからの強奪は成功した。しかし北大路が鞄を開けてみると四千万からの現金が入っている。驚き北大路はカネ等を隠す。

集合場所の貧民窟の小屋(地下室もある結構大きな建物)で、高倉と江原は北大路らにカネをありかを問い詰めるが、五万円で騙されたと絶対に白状しない。仲間を拷問し、北大路を追い詰めようとする。仲間の女を強姦し、万力で手を押し潰すといった残虐極まる場面が続く。北大路は目の前で仲間が拷問に会っているところを見せられ、自分の手を自ら潰し、痛くないぞと叫ぶ。

一方麻薬とカネを奪われたやくざは取り返しに来る。三國は自分の弟たちに説得を試みるが、家を捨てた三國の言葉は全くきかない。
小屋をやくざたちが銃を持って取り囲む。小屋の中では、荏原が北大路を撃とうとすると高倉は弟を守って江原を撃つ。仲が少しは改善したか、北大路と高倉。三國が最後にカネ等のありかを教えてくれと弟たちに頼みに来る。北大路は教えてやってもいい、こちら側に来るなら、仲間でなければ教えられないと答える。三國は諦め、やくざ連が一斉に銃撃し、小屋の者たちは皆殺しになる。
最後に三國がとぼとぼと貧民窟から歩いて帰ろうとするところを、後ろから住民たちがものを投げて非難の行動をする。

貧民窟は「どですかでん」の舞台のようなところである。北大路と仲間たちが指を鳴らしながら歌う。ウェストサイド物語のマネに見える。現金麻薬強奪は渋谷駅構内で行なわれる。今と同じだからすぐわかる。普通は良い役の高倉が、拷問を進んでやる残酷な男を演じているのは稀少価値がある。

迫力ある映画である。観ていて興奮する。しかし気になるところがある。
この映画は経済成長に取り残された持たざる者たちの抵抗と国立FAのパンフレットにあるが、同情できない連中にしか見えないのである。
高度成長期だから仕事はいくらでもあった。北大路と仲間たちは好き勝手なことを言っている。それが悪いわけでない。人間とはそういうものだ。しかし仕事もせずに遊んでいるような連中に同情する気は起こらない。貧民窟の人々はどうか。歳もとっていれば新しい仕事は無理かもしれない。実はこの映画で一番心に残ったのは最後、敗残者の三國に物を投げて非難するところである。彼ら貧民窟の住民たちは隙あらば自分たちでもイジメをしたいのである。三國が敗者だからみんなで、後ろから石持て投げるのである。まことに唾棄すべき連中である。
高度成長に取り残されたから同情すべきなどという論理はあまりに甘すぎる。弱いから善人、強いから悪人ではない。善人悪人の区別と良い悪いの区別は別である。ただ敗残者に同情していれば正義などとは大甘である。

さらに本映画は筋上きわめて気になるところがある。最後に白状しない連中を全員射殺してしまうのである。全部殺してしまったらカネ麻薬は回収できないではないか。やくざたちは殺人に来たのでなく、カネ麻薬を取り戻しに来たはずである。全員拘束して、高倉江原がやったようなことをするはずである。それでは長くなりすぎで映画として成り立たないのか。
巻き添えで殺されてしまった中原早苗が可哀想。ほかは死よりもカネの連中だから死んで当然。

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