2014年11月17日月曜日

デッドライン~USA Deadline-USA 1952

ハンフリー・ボガード主演、リチャード・ブルックス監督の米白黒映画。悪を暴くべく徹底的に戦う新聞の編集長を描く。



 ボガード演じる新聞の編集長は、気骨があり社会の木鐸という新聞の使命の権化のような正義漢である。全裸の女性の死体が川から上がっても煽情的になる写真は載せない、裏付けの取れない記事は載せないという方針である。しかしその新聞が身売りに出されるという情報が入ってきて記者たちは動揺する。

おりからマフィアのボスのような権力者が不正をいろいろ行っているという疑惑が話題になっていた。しかし証拠がつかめず逮捕もできない。取材に行った記者が暴行に会う。女性死体の身元が判明するが、洗っていくうちにこれも、記者暴行と同じく権力者につながることがわかる。新聞の売却には創業者の子供たちが進めている。故人の妻は新聞が廃刊となるなら嫌だと言い出す。編集長は仕事と新聞の存続で休まる暇もないが、前妻の家に行く。あまりに仕事中毒の夫に嫌気がさして離婚したのだ。編集長はまだ気がある。新聞が終わるなら再婚してともに過ごしたいと思っていた。しかし前妻から別の男と結婚するつもりと聞かされる。

死体で上がった女性の兄を見つける。元ボクサーでやくざ者である。この男から事情聴取をして記事にするはずだった。しかし権力者の部下が警官を装い、編集長の留守中に強引に連れ出す。兄は暴れだし新聞社の中で偽警官に撃ち殺される。
権力者を追い詰める記事も書けない、編集長自身も権力者自身から恐喝を受ける。新聞の身売りについて裁判が再開される。創業者の妻の反対にもかかわらず売却決定の判定が下る。明日で廃刊となる。死んだ女性の母親が編集長に会いたいとやってくる。自分の娘から預かったとして権力者の大金と、彼との関係を綴った日記を持ってくる。これによって記事が書けるとして新聞の印刷を命じる。最後に権力者から編集長に電話がかかってくる。脅しに対して全国の新聞を止めることはできないと答える。

息をつく暇もないくらい話が強烈に展開していく。迫力のある映画だ。ボガードがあまりに理想的というか超人として描かれているのが気になる。一方で最後にハッピーエンドで終わりでなく、新聞の廃刊が決まるとか厳しい面も見せている。

元々、問題にもなかったろうが以下は気になる。最後の新聞印刷開始の場面で前妻が編集長を訪ねて来る。よりが戻ることを期待させている。ただこのような仕事のみの男は、正直今どき賞賛されないのではないか。それとも無能でだらしない家庭主義者よりはましと言うべきか。

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