2014年11月14日金曜日

カフェ・エレクトリック Café Elektric 1927

ウチツキー監督のオーストリアの無声映画。監督はあの画家クリムトの息子だそうで、ルノワールの息子の監督は誰でも知っているが、有名画家の息子監督の別の例である。



 なんでもマレーネ・ディートリッヒと当時の映画界で有名だったヴィリ・フォルストの二人が主役級の扱いとなったことで知られる映画らしい。ディートリッヒはこの後スタンバーグ監督の『嘆きの天使』(1930)で超有名になるが、その前の時期の映画である。

主役級と書いたがこの映画の主役は、素直に見れば別の二人であろう。その後ディートリッヒがあまりに有名になってしまったため今ではディートリッヒで語られる。

やくざ者の青年がウィーンの街角で親切に女性に近づきそのバッグを奪う場面から始まる。放蕩者の彼は、夜は酒場カフェ・エレクトリックで遊び女性と戯れる。夜の女で彼に執着な者もいるしかつて愛人だった女もいる。ここにディートリッヒ演じる建設会社の社長の娘も遊びに来ていて二人の仲は満更でなくなる。カネに窮している青年は無心をする。娘も品行方正とは言い難く父親の指輪を、隙をみて盗み出す。それを目撃した会社の技師が咎めるが言うことを聞かない。この後社長が紛失に気づき社員を責めるが技師は誰と言わない。

この技師がカフェ・エレクトリックに出入りする夜の女の一人と近づき、愛し合うようになる。彼女は実は不良青年のかつての恋人でまた好きになった彼は彼女に社長の娘からもらった指輪を与える。建設会社の社長も謹厳実直とほど遠く夜、カフェ・エレクトリックで若い女を漁っている。技師が席を外している時に恋人を見つけ口説こうとするがその指輪を見て驚く。どこで入手したかと詰め寄る。ちょうどその時、社長の娘が不良青年と組んでこの店に入ってくる。あの男と女が叫ぶと社長はむしろ自分の娘を発見して驚き、なぜこんな所へやってくるのだと怒り出す。丁度張込んでいた警察に青年は捕まる。彼がつれなくした女が通報していたのである。しかし彼は技師の恋人の仕業と思い込み仕返しをするぞと叫ぶ。
社長は娘をうちに連れていき叱るが、娘は今まで親らしいことをしてくれたことがないと反発し、家を出ると言い出す。

技師と恋人は結婚するが、仕事がなく毎日職を捜す日が続く。ある日かつての知り合いに会った妻は夫を連れてこいと夜の時間を指定される。その間に妻を襲おうとしていたのである。辛くも逃れるが、やはりかつてのカフェ・エレクトリックへ行ってなにか捜すしかないと妻は思い出かける。ちょうど知り合いと会ってホテルの前で話しているところを夫の技師が見つけ悪い職業に戻ったかと誤解する。捕まった不良青年は刑務所を出てきた。
これより先のフィルムは紛失。字幕で概要を説明。誤解した夫は妻を追い出す。不良青年は恨みで妻を刺す。夫も自分の過ちに気がつく。

 主役は技師(シム)とその妻(ヴァンナ)である。この映画のディートリッヒはのちに比べ、見た目も随分違う。最初からディートリッヒと知っていなければ気がつかないのではなかろうか。脚線美を見せる場面はある。当時から脚は売りだったのだろうか。

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