2014年11月19日水曜日

義人呉鳳 昭和7年

千葉泰樹監督の台湾を舞台にした無声映画。共同監督に安藤太郎。


何か儀式かお祭りをしているかのような男たちの群れ。日本人とは見えない。これは台湾の蕃社民族の祭り。場面は変わって住民たちが叫んでいる。蕃社人に殺され首をとられた、と。復讐を叫び手に手に武器を持って駆り出す。それを聞いた上級官僚というか長官のような支那人、彼が呉鳳であり、復讐を止めに入る。住民たちは怒っているがなんとかなだめる。自分が蕃社人に首狩りは辞めさせると約束する。蕃社人たちと交渉する。呉鳳は首狩りのような野蛮極まる行為は許せないと言う。しかし蕃社人は首狩りは先祖に捧げるためで昔からの習慣だと反発する。説得できず肩を落とす呉鳳。

そのうち蕃社人で伝染病が流行る。これを呉鳳が癒す。感謝される彼は首狩りを辞めさせる。代わりに髑髏を捧げればいいと言う。その後四十年間平安に過ぎた。四十あった髑髏はなくなった。また首狩りが始まるのか。呉鳳は蕃社人に、明日の夜明けに赤い服を着た男が峠を通る。彼の首を取っていいが、これを最後にしてくれと頼み蕃社人も納得する。呉鳳は自宅に戻り妻と息子に別れを告げる。これから遠くへ行くが何があっても覚悟せよと告げる。明くる朝、蕃社人が男を打ち取るとそれは呉鳳であった。いたく悔やみこの後首狩りはなくなった。

 台湾では有名な話だそうである。時代は18世紀。台湾を舞台に支那人と原地民族との抗争を日本人が映画にしている。台湾は当時日本の植民地だったからある意味不思議でない。フランスでも同様な映画が多くある。もっともあれらの多くはフランス人を描いているのだが。これは話の上では日本人が出てこない、日本人の俳優たちが演じる映画である。
この呉鳳が首狩りを辞めさせた話は、インターネットによると戦前の日本の教科書にも載っていたらしい。原地人側から見ればまた解釈は別であり、現在では作れない映画である。

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