2020年5月6日水曜日

笑ふ男 The Man who laughs 1928

パウル・レニ監督、米、110分、無声映画。
ヴィクトル・ユゴー原作の映画化。

17世紀のイギリス、時の王は反乱貴族を処刑、その幼い息子は手術によって口裂け男にしてしまった。からくも死から逃れた息子は、道端で死んでいる女から赤ん坊を助ける。二人は巡業見世物師によって拾われる。長じて赤ん坊は美しい女に成長したが、盲目である。口裂け男はそのままで笑っているように見えるので、笑う男という名で人気の道化師となる。笑う男は女を愛しているが、滑稽な自分が見えないから、相手も自分を好いてくれているのではないかと悩んでいる。

新しい女王の時代になっている。寵愛を受けている女貴族は冒険好きで見世物で評判になっている笑う男を見て気に入る。自分の家まで呼ぶ。女が自分を好いていると分かった笑う男は自信を持つ。
実は女貴族は笑う男の父が失脚したので成りあがった身分であった。女王側近は笑う男の素性を調べ貴族の身分であるので、取り立てるべきと女王に進言する。
笑う男は見世物小屋から、貴顕列席の大寺院に連れていかれ貴族の身分を授かり、女貴族との結婚を命じられる。見世物小屋は立ち退きを命じられ、盲目の女は笑う男を求める。
笑う男は大寺院から逃げ出す。巡業一行を追いかける。兵士たちが追う。この追っかけが無声映画ならではのスペクタクル的な見せ所になっている。最後に笑う男は海に飛び込み船で去っていく巡業一座に追いつき、盲目の女を抱きしめる。

原作のユゴー『笑う男』はなぜか最近の翻訳がない。潮出版社からユゴー選集が出された時も外されている。まさか身障者が出る話なので避けるという、馬鹿げた風潮のせいではいだろうが。インターネットで大昔の翻訳が読める。

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