2020年5月20日水曜日

ヴァン・ダイン『ベンスン殺人事件』 The Benson Murder Case 1926

探偵ファイロ・ヴァンスが活躍する、ヴァン・ダインの推理小説の第一作。
ニューヨークの株式仲買人、ベンスンが自宅で何者かに射殺された。

犯人は誰か。被害者は多くの人間に恨みを買っていた。容疑者はいくらでもいそうに見える。
好事家の素人探偵ファイロ・ヴァンスが友人の検事マーカムに色々助言する。助言に留まらず、警察の捜査を揶揄したり、衒学癖があって芸術その他の知識で聴き手を煙に巻く。実務家の検事はいらいらする。
犯人当ての古典的な推理小説であり、登場人物も限られているので、現在の推理小説愛好家はそれほど驚かないかもしれない。

ただ極めてまっとうな推理小説であって、本作以降推理小説の黄金時代を迎えたほど、多くの推理小説が続いた、続けさせた作品なのである。
探偵ファイロ・ヴァンスの衒学癖を嫌うか、面白がるかによってヴァン・ダインの小説の評価は分かれてくるだろう。
井上勇訳、創元推理文庫、1965

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