2020年5月13日水曜日

新釈四谷怪談 昭和24年

木下恵介監督、松竹、前後篇8573分、白黒映画。
四谷怪談をやや趣向を変え作成した映画。伊右衛門が岩を騙して殺害、更に金持ちの娘と結婚するが破滅に至るという大筋は踏襲している。

しかし上原謙演じる伊右衛門は気が弱く、悪事をする度胸がない男として描かれる。それを滝沢修演じる悪党にそそのかされ、その気にさせられる。悪事を決行するに至るまで自分で何も決められない出来ない優柔不断さは、ただただだらしないと思わせてしまう。岩の役は田中絹代、その妹にも一人二役で出ている。妹の方は勝気な女として登場する。つくられたのが昭和24年という、民主主義の風潮が強かった時期の反映なのかと思った。岩は大人しすぎ、夫に従順過ぎと批判されるが、話の時代なら岩の方が普通である。
ダメ男の上原謙を悪事に引き込むのは徹頭徹尾悪人の滝沢修なのだが、すべて滝沢のせいになっているのは、極端過ぎというか単純過ぎないか。

新釈をこのようにしたのは、勝気な女の登場だけでなく、役立たずの侍が出てくるのは、少し前まで軍人が威張っていた時代なのでそれを批判したかったのかと、それが新釈かと思ってしまった。

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