2015年1月29日木曜日

赤穗浪士 天の巻 地の巻 昭和31年

 
松田定次監督による忠臣蔵映画。東映は何度も忠臣蔵を映画化しているが、これは初の総天然色映画だそうである。
何しろ最初から討ち入りまで一つの映画でやるとしたらどう工夫して収めるかの問題が出てくる。この映画は151分と長尺であるがそれでもあっさりしている感はどうしても出てくる。
また忠臣蔵と言えば誰がどの配役かが関心であろう。大石内蔵助は市川右太衛門、浅野内匠頭は東千代之介、吉良は月形龍之介である。それでは東映のもう一方の雄、片岡知恵蔵は?立花右近役なのである。内蔵助との睨み合いの場面は迫力があるとされている。

先に書いたように全編を一つの映画としているためシーンの切り替わりが多く、次々とエピソードをこなしていかなければならない。

他の忠臣蔵映画と比べての特色を述べたい。大仏次郎の小説を原作としているため、敵方というべき上杉家の家老千坂(小杉勇)の策謀に結構ウェイトがある。彼に操られ浪士の動向を探る役に虚無的な浪士堀田隼人(大友柳太朗)や泥棒(新藤英太郎)、目明し、女間者。大友や新藤の役は反幕府的であり、特に大友は敵討ち自体に批判的である。浪士たちを義士と見做していない。つまり赤穗浪士の美化に水を差す役割となっている。

時間の制約で、内匠頭の失態続きはあっさり、内蔵助の妻を豊岡へ帰す際の別れの場面はない、女に吉良家の図面を盗ませる話もない、討ち入りも短い、吉良は簡単に見つかるなど。
特に南部坂雪の別れの場面がない。瑶泉院は出てこないのである。正直私見であるが、立花左近の挿話とならんで南部坂は人気があると思うのだが。日本人というは言わなくてもわかってくれるというのが大好きなのである。

逆に省略の多い内匠頭切腹の際の片岡との田村邸の別れはあった、これは記憶に残った。
最後の場面は浪士たちの凱旋行進で多くの映画と同じ。

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