2015年1月28日水曜日

歌舞伎十八番 鳴神 美女と怪龍 昭和30年

吉村公三郎監督による歌舞伎を元にした白黒映画。



江戸時代の小屋で歌舞伎を演じているところから始まる。そこから劇中劇となって過去の時代へ戻る。雨が降らず農民たちは暴動を起こそうとするまでになっている。これは天皇に世継ぎができるよう祈祷した鳴神上人が、約束を破られ復讐として龍神を閉じ込めたためである。宮廷では対策を喧々諤々と議論している。漢文の巻物を解読すれば法力は解けるというが学者でも読めない。そこへ雲の絶え間姫(乙羽信子)が自分なら読めると言い出す。その代わり意中の人(東千代之介)と結婚されてくれと頼む。明くる日読めと言われ、宮廷でなく上人のところで読み法力を解くと答える。山へ登り上人へ会いに行く途中、巻物はあっさり谷に捨てる。あんなもの読めないし読んでも法力が解けるわけでないと言う。

山に籠っている上人とその弟子二人。弟子は侍女に任せ、自ら上人へ近づく。色仕掛けで迫ろうとするのである。すっかり女の術中にはまり酔った上人は注連縄を切れば解けることまで話してしまう。夫婦の杯を交わし上人が寝ている途中に小刀で縄を切る。たちまち龍神が現れ洪水のような大雨になる。

色仕掛けで堅物を誑し込むという古今東西に見られるお話である。元々の筋がそうなのだから、かなり笑える作りになっている。怪龍がいかにも作り物の龍でよい。特撮映画のような怪獣では困る。ジャケ写は千代之介が主であるが、主人公は乙羽と上人である。

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