2015年1月12日月曜日

大地の侍 昭和31年

維新後の武士たちによる北海道の開拓物語。佐伯清監督の白黒映画。


東北の一藩は維新戦争で幕府方についたため新政府後、領地がなくなった。北海道なら開拓地を割り当てるという。家老(大友柳太朗)の進言で若い領主(伊藤久哉)は有志の部下と北海道へ開拓のため渡る決心をする。割り当てられた土地は不毛の地で、苦労するが作物は期待できないとわかった。もっと肥沃な地に替えてもらおうと開拓使へ陳情に行く。これには家老の頼みで領主も足を運んだ。担当の役人(山形勲)は簡単にできないが、希望する替地は未踏であり測量をすれば可能性はあると言う。家老一行は苦労してその地まで辿り着くがこの踏査で、新婚間もない部下の一人(加東大介)は命を落とす。

藩から引き連れてきた家族の中、特に妻たちは、見通しのつかない新地での苦労や連れ合いの落命で嫌気がさしてくる。逃げ出す妻も現れた。

新しい土地で新道建設のための土木工事を請け負う。土木工事など武士の仕事でないと部下は最初不満をこぼしていたが文句を言っていられる場合でない。仕事を取られた地元の業者たちは反感し様々な嫌がらせや邪魔をする。

最初引き連れてきた家族だけでは新領地開拓に足りない。領主、家老は帰郷し新しい移民を募ることにする。帰郷すると昔の藩主には華族の称号が贈られることになった、未開地の苦労など必要ないと諌める部下がいる。領主は自分には華族の称号などより部下との開拓を選ぶと言う。

中々領主や家老が戻ってこないので北海道では見捨てられたのではないかと疑心暗鬼を生ずる。開拓移住を故郷で募ってもわずかしか応募してこない。更に出発直前の脱落者も出てくる。開拓地の者たちが心配しているであろうと帰還を知らせる手紙を出す。しかしこの手紙は北海道の宿で冬のため放置されそうになった。その時かつて開拓地から逃げ、今ここで女中をしている女が聞きつけ自ら届ける。最後はやってくる新規開拓者連を遠くに見つけ歓喜する。

北海道に明治以降、内地から多くの者が開拓へ向かった。実態を描いた映画は初めてで興味を持ってみた。この映画に描かれているように「改易」で行かざるを得なかったのか、あるいは何らかの自発的理由その他で行ったのか、調べてみないとわからない。
この話では意志が強く統率していく家老のほか、若い領主が極めて物わかりがよい設定となっているが、苦難が次々と襲ってくる。いずれにせよ現実の開拓でも多くの苦労が伴ったのは想像に難くない。

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