2021年8月9日月曜日

血は渇いている 昭和35年

吉田喜重監督、松竹、86f分、白黒映画。佐田啓二主演。

会社の便所で拳銃をいじっている佐田。屋上に行く。社長が首切の必要性を、社員を集めて演説している。やって来た佐田はいきなり拳銃をこめかみに当てて、仕事をしたい、辞めさせたら生きていけないと言い出す。周りの者が驚き、制止して弾はそれ、自殺は未遂に終わる。この事件がニュースになる。生保会社に勤める芳村真理はこの事件からあるアイデアを思いつく。自殺未遂の佐田に生保のコマーシャルをさせようと。話を持って行った当初、佐田は乗り気でなかった。しかし妻に勧められ引き受ける。拳銃をこめかみに当てた姿勢でテレビに、写真にと露出する。これが受けて佐田は有名人になり、生保の売り上げに貢献しただけでなく、本人にもあちこちから声がかかるようになる。朴訥な生真面目さが受けたのである。企画した吉村はあまりの佐田人気に、自分の手から離れてしまったと感じる。その吉村の友人で、アプレの権化のような若者がいて、有名人に嫉妬し、なんとか引きずりおろしたいと欲望に燃えている。佐田もその対象になり、佐田の妻を暴行したり、イメージをぶち壊すような目に会わせる気でいた。とうとう怒った佐田が突き飛ばし車に轢かれそうになる。これで一挙に佐田は見棄てられ生保会社から首になる。佐田は自分の意思が純粋なので認めてもらえるはずだと確信し、重役室に行って拳銃自殺を再現する。どうせ茶番だろうと思っていた重役らの前で本当に自殺する。

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