2020年9月15日火曜日

アーサー・ミラー『橋からの眺め』 A View from the Bridge 1955


 ブルックリン橋近くの街を舞台にした二幕の劇。波止場で働く人々の話である。イタリアから兄弟二人、ここへ仕事に来ている。不法移民で捕まると帰国になる。元から働いている男の家で置いてやり、仕事をさせている。この家に主人の男の姪がいる。住まわせている兄弟のうち、弟の方はよく姪と遊んでいる。これが主人の気に入らない。単に怠けているのを不快に思っているだけでなく、姪にかなり思い入れがあり、不法移民で結婚して居住権を得ようと思っているような男と結婚させたくない。姪は弟を気に入っており、結婚する気はある。特にうるさい叔父から逃げたいと思い、イタリアに戻って結婚してもいいではないかと提案する。弟は拒否する。米で結婚し、居住権を得たいからだ。兄弟とも気楽に考えていたが、主人の方は弟に怒りが収まらず、当局に不法移民がいると連絡する。これが思いがけない形で悲劇を引き起こす。

劇では劇中の弁護士役が、ギリシア劇の説明役のような役割をしている。倉橋健訳、ハヤカワ演劇文庫、2017

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