2020年9月23日水曜日

風の中の牝雞 昭和23年

 小津安二郎監督、松竹、83分、田中絹代、佐野周二出演。

田中は夫である佐野の、戦争からの帰りを待っている。幼い子供が病気になる。病院に入れ回復するが、お金がない。その捻出のため知り合いに頼み、売春をする。佐野が帰ってくる。喜ぶ田中。何かなかったかと佐野にきかれ、子供の病気を話す。どうして費用を賄ったかと問われ嘘がつけない。佐野は怒り、不愉快な気分になる。田中を叱責しその場所を聞く。自らそこへ出かける。女をよぶ。来た若い女にどうしてこんなことをしているんだと問い詰める。女の家ではその女以外に働き手がいない。まともな仕事を捜してやると言い、別れる。

佐野は勤務先の同僚で友人の笠智衆に、女にさせる仕事はないかと尋ねる。あるだろうと笠は答える。佐野の家の事情を聞き、許してやれと言い、佐野も許しているが気分がつかないと。

帰宅する。田中は佐野にすがり赦しを請い、家にいて休んでくれと頼む。その田中の態度を強硬と感じた佐野は、田中を押し倒す。階段の上から田中は落ちる。驚いた佐野は大丈夫かと声をかける。起き上がった田中は階段を上る。坐っている佐野に声をかける。佐野は忘れよう、これからもいろんな事が起きると言う。

階段を落ちる場面は小津の作品の中では暴力的で強烈な印象を与える。当時は批評も制作側もあまり評価していなかった。失敗作と言われたらしい。今ではそういう評価ばかりでないだろう。

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