2019年10月20日日曜日

暗黒街 昭和31年

山本嘉次郎監督、東宝、98分、白黒映画。
港湾のある都市、三船敏郎が新任の警視として赴任する。犯罪の一掃を目指す。暴力団の組長志村喬は戻ってきた。留守の間、他の子分たちが大した儲けをあげていない中、キャバレー経営の鶴田浩二が業績を伸ばしているので褒める。他の子分たちは面白くない。儲けのない所で代わりにマッサージ場をやれば儲かると進言し、聞き入れられる。しかし同じ志村配下の建設会社が工事を担当すると、鶴田への嫌がらせで遅々として進行しない。

志村は自分の健康を診てもらうため、前に知り合った若い医学生の青山京子を呼ぶ。
手の早い鶴田は、志村の女と密会しているのにもかかわらず、清純な青山に惹かれる。青山が欲しがっている医療機器の購入のためにカネを志村に頼み、それで青山に貸す。青山の恋人の小泉博がこの町にやって来て暴力団と関わり合いになっている青山に手を引くよう警告する。
鶴田に嫉妬する他の子分は志村の情婦が鶴田といい仲になっていると志村に告げる。志村は気にしない。しかし情婦の嫉妬から鶴田は子分の一人に撃たれる。鶴田の手当をする青山は、続いて病で倒れた志村の看護のため監禁状態になる。国家試験も受けられなくなる。
最後には鶴田が警察に通報し、志村らは逮捕される。鶴田は三船から、青山が小泉と一緒に帰郷したと後から聞かされる。

鶴田浩二、志村喬、三船敏郎と大物スターが出演し、鶴田が主役の扱いか。しかし観ていて、本作は医学生青山京子がやくざと関わりを持ったばかりに受難する映画に思えてきた。
青山京子と言えば昭和29年の『潮騒』の映画化第一作の主人公を務め、三島由紀夫からも称賛された。しかしその後はあまり有名な役はない。本作で若き日の青山を観られた。
映画としての出来は正直言ってそれほどでない。同じ鶴田の暗黒街シリーズの顔役や対決ほど有名でないのもむべなるかなである。

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