2019年10月29日火曜日

渋沢栄一『雨夜譚』 明治27年

明治の一大事業家である渋沢栄一が、自らの一生を生まれから大蔵省を辞めるまで語った記録。
武州血洗島村に生まれた。当時受けた教育が書いてある。中国の古典による。家は農業だけでなく藍や養蚕もしていた。藍の買い入れで親の代わりにあちこちの家に行き、上手く商売したという。
天保年間の生まれである渋沢の物心つく頃は幕末である。攘夷の風潮に乗り、友人らと外国人襲撃を企てたが、従兄弟の諌めで取りやめる。

百姓では何も出来ないので、京都へ出て活動しようとする。尊王討幕の立場であったが、あるきっかけで一橋慶喜に仕える。その慶喜が15代将軍になり、渋沢らは慶喜の従弟で水戸家の公子に随行し、欧州へ行く。パリ万博の見学や知識を得る予定であった。それが滞欧中に幕府は瓦解し、カネの都合などあり帰朝する。慶喜に従うつもりで静岡へ行く。ところが静岡藩の連中は渋沢を藩で雇い使うつもりでいた。渋沢は藩に仕えるつもりはなく、金融の整備に尽くす。東京では大蔵省に仕え、明治初めの政府が整備される時代に活躍する。大蔵卿の大久保利通と意見が合わず辞める。それ以降は実業界で活躍するが、これは語った当時につながる話というのでしていない。

ともかく明治の偉人である渋沢の生涯は歴史の教科書に出ている名が次々と出てき、それらの実際が分かり読んでいて面白い本である。
土曜文庫、2019

0 件のコメント:

コメントを投稿