2016年12月15日木曜日

プーサン 昭和28年



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市川崑監督の東宝映画、白黒、伊藤雄之助主演。
気が弱く周囲の状況に押し流され、自己主張もできないような塾教師の伊藤が主人公である。
この映画のもう一つの主人公は当時の世相かもしれない。独立して2年後の日本。まだ経済、生活水準は低い。朝鮮戦争の特需でこれから日本の経済が急激に回復していく直前である。逆コースの時期で追放戦犯が解除され、警察予備隊が創設される。左右勢力の激突が頻繁に起こる。デモの警官隊との衝突。

そういう背景の中、伊藤は藤原鎌足、三好栄子の夫婦の下宿に住み、そこの娘である越路吹雪に憧れを抱いている。冴えない中年男の伊藤には告白は勿論できない。越路は銀行の同僚と結婚したいのだが、相手が中卒と知って三好は全く頭から受け付けない。
塾の学生の誘いでデモに参加し、警察に捕まる。塾を馘になった伊藤は三好の口利きでバイトの仕事につく。そこは戦争用の武器を流す所であった。
親に反対された越路は自殺を図る。未遂で終わり三好は警察へ迎えに行く。

当時の世相の勉強になる。しかし状況を知らないと理解できないところが出てくる。
これは市川が認められるきっかけになった映画で、当時から非常に評価されたそうである。確かに有名で自分も観るのは少なくとも2回目である。しかし公開当時の観客と違い、時代を共有していないので良さが十分わからないと感じてしまう。

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