2015年4月19日日曜日

瞼の母 昭和37年

中村錦之助主演、母役は木暮実千代で、加藤泰監督によるおなじみ長谷川伸原作の総天然色映画化。

映画では前半に、錦之助がやくざの仁義といってはやる弟分の松方弘樹を諌める話がある。
松方には妹(中原ひとみ)と老いた母親があり、二人のことを考えろと錦之助は諭す。敵方やくざを討っても自分だけの所業とし、母のいる松方にかたぎになることを約束させる。

後半は江戸へやってきた錦之助が母との再会と別れという瞼の母そのもの。

この話、菊池寛の『父帰る』と逆の構造を持っていることを今回改めて感じた。

また親子の感情、特に母と子の間は、通常言われるようなきれい事ばかりでないのは実は多く見られるはずである。親の子への犠牲的な献身という美談が当然視され過ぎていないか。

この話でもカネをゆすりに来たと勘違いしたことから悲劇が始まるが、カネだけでなく深い暗い裂け目が結構あるはずである。そういうことも考えさせられた。

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