2015年4月19日日曜日

金田一春彦『日本語』 昭和32年

岩波親書の一。昭和32年は初版で、その後新版を同じ岩波新書から昭和63年に上下2冊で出している。

今回読んだというより、読み直したのは旧版である。これは随分前に読んだ。読んでいて思い出した個所がいくつもある。正直よく覚えていた箇所が多い。

再読して驚愕した。若い時に読んだときはそんなに思わなかったのに。著者は国語辞典の編集などでおなじみの国語学者であり、本著は日本語の特色を外国語との比較などを交えて書き綴った本である。
 
いったい何を驚いたかというとあまりに偏見に満ち満ちているから。西洋中心思考、それ以外の国は西洋と違いがあるほど未開である、という以前よくあった発想法を元に論を進めているからである。

著者がどれだけ偏見を持とうと自由だがこれほどあからさまに差別意識丸出しの著書がいまだ読めるとは驚き(もっとも新版はまともになっていると思うが)。そういう意味で貴重な本である。再度言う。これほど凄い本は近時経験なかった。

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