2015年4月16日木曜日

若さま侍捕物帖 黒い椿 昭和36年

大川橋蔵が新吾十番勝負より前にシリーズで出ていた若さま侍捕物帖の一。沢島忠監督、これはシリーズ第9作目にあたる作品だそうだ。


舞台は伊豆大島。休養に来ていた若さまは謎めいたアンコを知る。彼女は私生児で、父親は江戸の侍、母は捨てられて自殺という蝶々夫人めいた出生で何かと島で噂されている。多くの男たちから狙われている。

宿屋を経営するよそ者の女主人と番頭、女主人をくどく名主、ライバルの悪人丸出しの網元、椿油製造の主人、油商人、不思議な老婆、番頭の兄の密航者などが主な登場人物。

網元が夜浜辺で後ろから銛で殺された。アンコの祖父は孫に言い寄る網元に恨みを持っていた。アンコと祖父は隠れ、彼らに疑いがかかる。若様も捜査に乗り出す。

その後殺人が重ねられ、謎は深まっていく。

捕物帖は推理物の一でありながら、謎解きよりも全体の設定や悪者たちをどう捕えるかに興味の中心を置くものが多い。それに対してこの映画は謎解きが主であり、最後にわかる犯人は驚く。いわゆる本格推理小説を読んでいるような気分になる。

江戸時代の大島を背景として(どの程度時代考証的に正しいか別にして)、推理時代劇となっている本作は結構存在感を主張できる。

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